Soekris dam1021 のビルドその3

Soekris dam1021の動作確認
 マルチビットDACの試運転も佳境に入り機器、音質とも安定期に入りました。
 HDMI(LVDS)によるi2sのフックアップも終えて、連続運転を行ってもトラブルは皆無で正しく評価出来るフェーズに入ることができました。
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 ラダー抵抗の集合分部に簡単な防塵用のカバーを設けました。

仕様概要
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 音質面で明確なった点は、R-2Rからのダイレクト・シングルエンド(RAWデータ)より、バッファーアウトされたシングルエンドの方が、インピーダンスが低く、低域の音が美しく感じます。ダイレクト(RAW)の電流出力は、何らかのバッファー(I/V変換)を付加して、音の変化を楽しむか、電流入力のフロントエンドを持つアンプに接続するなどのバリエーションが、楽しめる仕様です。
 出力ゲイン調整用のポテンショメータをつける事によりデジタル・ボリュームが作動しますが、今回は、操作性と音質を優先して、デジタル分部での情報落ちを避ける為にボリューム無しの方法をとり、0dB/2Vrmsの出力となっています。しかし、このボリューム無しの方法は、一寸ゲインが高く、ハイゲインの時に音の歪を感じますので、今後の課題として、先の楽しみに取って置きます。
 今回採用したTI製のTPS7A4700安定化電源で、唯一気に入らない点として、出力のインピーダンスが高いことです。それを補うべく、880μのタンタルコンデンサーを追加しました。これにより低域の分解能が向上しました。
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マルチビットDACとシングルビットDACについ
 DACには、古くは積分型とかがありましたが、現在はシングルビット型とマルチビット型に区分されます。シングルビット型は、普及機から高級機まで幅広く採用されており、それを並列に繋いだり、クロックを高確度にして、何とか商品の差別化を図っています。それに対してマルチビット型は、超高級機か、自作しか存在せず、極めてニッチな世界と言えます。
 シングルビット型、マルチビット型の動作原理については、それ専用のコンテンツを参照した方が、正確ですので触れない事とします。

音の特徴
 可聴帯域内の特性にはそれほど大きな差はありませんが、シングルビットDACではマルチビットDACに比べてデコードの方式から帯域外ノイズが非常に多くその為に強力なローパスフィルターが必須あり、そのフィルターの出来不出来により音質が大きく異なります。
 強力なローパスフィルターにより損なれた可聴外広域を意識的に補い、エコー感が不自然に感ずるのが、シングルビット方式の特徴と言えると思います。

メリット・デメリット
 マルチビットは、変換の直線性を保つのが難しく誤差を生じやすいと言えます。そのうえラダー型の抵抗の精度でリニアリティーが決定されてしまうため、大量の抵抗からマルチビットDACの商品グレードに相応しい抵抗を選別する力作業があります。
 同様にDAC-ICを量産するという意味では、抵抗の精度を得る為に、抵抗をレーザーによりトリミングの調整を要します。生産コスト的に難しい部分があり、その為に製品が割高になってしまう傾向にあります。
 サンプリングで、処理サイクル毎にその瞬間の電圧や電流を表現可能で、時間的なズレが発生しないので、アタック音などが明確であり、トランジェントの良い音の表現が構造的に可能となります。音に力があり厚いと感じるのがマルチビットDACの特徴であり優位点といえます。
 対する方やシングルビット方式は、⊿Σ変調(ノイズ・シェーピング)により1と0からなるPWM(パルス幅変調)もしくは、PDM(パルス密度変調)に変換しているので静特性において誤差が少なく直線性が良いと言えます。量子化で発生する誤差の蓄積を次のサンプリングへと加算して、その積み重なった誤差が量子化器の敷居を超えた時に初めて出力へと現れるという原理から、どうしても遅延が発生する事は避けられません。やはりシングルビットDACは、エコー感、量子化の遅延から不自然な音に聞えるのは当然で、マルチビットは価格面のみにデメリットがあるものの、抵抗の精度が確保出来れば、理論的には理想的な訳です。一寸言い過ぎですが、シングルビットDACはマスプロ化の為の妥協の産物と言えなくも無いです。

今後の予定
 出力ゲイン調整用のポテンショメータは、Cカーブ又はBカーブを要求しており、設計ミスの様に思えます。又、音質も好ましくありません、ファームウェアーの更新で解決する事を期待します。基本的に不要と思われます。
 近日中に、DACの音を正しく評価出来る環境にて、一世代古いSoekris dam1021、MSB、ES9018S、ES9018K2M、AK4399、上野式ラダー型のヒアリングテストを行う予定です。
 ところで、このDACの名称が "Soekri" とありますが、設計者のデンマーク人 Soren Kristensen からきているのですね。

Soekris dam1021 のビルドその2

Soekris dam1021 の音出し
 一寸苦労しましたが、無事に音が出せました。
 完成基板なので、容易に音出しが出来ると高を括っていましたが、
思わぬ落とし穴にはまり、結線ミスに気づくまで、三日程費やしました。

製作上での考慮点
 今回は、電源トランスと本体PCBを可能な限り隔離することと、電源の低ノイズ化と安定化を可能な限り施しました。結果、素人用オシロで測定不能な程の低ノイズ電源ができましたが、電源の占めるスペースが本体PCBより広大になってしまいました。
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肝心な音
 高級なオペアンプ(LME49724)を出力のバッファーに使って平衡と不平衡の出力を可能としていますが、それを通す前のRAW出力が可能です。
 バッファーを通す前のRAW出力は、SEで1.4Vと低めです、それと比べて、バッファー出力は、低インピーダンスで2.0V(平衡4.0V)を有します。
 RAW出力は、当然ながら極めて鮮度が高く、今後一週間程の稼動で良化する事が期待できます。それと比較して、バッファー出力は力強い音がしますが、一寸煩く感じます、これも今後良化する可能性を秘めています。
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Soekris dam1021のフリンジ商品
 dam1021DACの操作性向上を優先して、音を悪くするサードパーティーのフリンジ商品が発売されています。
 Input, switch and output muting modulesはここ
 https://drive.google.com/file/d/0B5yzwtQVo5opRFhpNURQdERnRnM/view
 入力セレクター、ポテンションメータ、S/PDIFレシーバーのセットに加えて Raspberry Pi による制御が可能です。
 これでは、ノイズの塊であるスイッチング電源を多用したRaspberry Piを使い、マルチビットDACのメリットを無くす駄目なセットと言えます。
 
このDACのお勧め度
 ハッキリ言って、このDACはコアな商品で、入手から稼動まで大変な労力と根性を要します。今後の可能性は未知数ですので、得られたメリットと比較して、手放しでお勧めできません。入手して、二電源を繋ぐのみでは、良い音が得られませんので、個人的にはお勧めしかねます。ES9018Sを用いたDACの入手をお勧めします。

今後の予定
 今回は、一番音の悪いと思われるS/PDIF接続での試聴すが、明日からは、i2s、LVDS(HDMI)接続の試験を行う予定です。

Soekris dam1021 のビルドその1

Soekris dam1021 のビルド

 このDACの設計者である Soren Kristensen の製作記事を見ると、パワーラインのコンデンサーを増量した方が、フィルター効果が改善されて特性上好ましいと記載されています。音出しを行ってない現時点での容量追加は、可逆性を優先した改善を行う必要があるので、各機能別の電圧チェック端子にコンデンサーを追加する方法で行う事としました。
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 電圧チェック端子には、デジタル+1.2V、+3.3V、+-5V、アナログ+-12V の6電源が、アナログの電源から、DCDCコンバーターで各電圧を作り上げられています。この方法は、このDACで唯一気に入らない部分です。表面実装されている電解コンデンサーも大した物で無い事が解っているので、写真の様に大容量の導電性高分子アルミ固体電解コンデンサを追加する事にしました。
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製作の進み具合
 主電源の準備ができたので、部品の取り付けと、i2s入力の準備を始めました。今回もバラックで組み立てる事としました。

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左から、入力:LVDS(i2s)、S/PDIF、
出力(R/L):R-2R Direct SE、Buffered balanced(XLS)、ヒューズ、電源
 
i2s入力
 LVDS(i2s)入力と、TTLレベルの入力を切り替えて使える様に工夫しました、又、LVDS用に3.3Vのアイソレートされた安定化電源を設けました(黄色い基板)。

今後の予定
 当初、簡単に組み上げられると思ってましたが、手持ちの部品の準備、金属加工等、結構てこずりました。
 この先は、インターコネクト中心の加工で、今月末には当初目標の組み立てが終わる予定です。

R-2R DAC Soekris dam1021の電源準備

 TPS7A4700という出力電圧可変のLDOを用いて、マルチビットDACに用いる電源を作製しました。折角、希少価値の有るR-2RのDACを入手したので、思いっきり凝った二電源を用意しました。
 +-二電源で、TPS7A4700のANY-OUTプログラム・ピン(アクティブ・ロー)のグラウンドに落とす組み合わせにより出力電圧の設定が可能です。リニアテクノロジーのLDO等は、外付けの抵抗、ポテンショメータ等で電圧を調整しますが、それらの抵抗群が内蔵されおり、それを選択する構造です。
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肝心なノイズ対策
 ノイズ対策は、ムラタのEMIフィルタ(BNX012)と、未来のデバイスである東芝製のシリコンカーバイド・ショットキバリアダイオード(SiC SBD) TRS6E65C 8個をブリッジ構成にしてノイズ対策をおこないました。
 電解コンデンサーの間に鎮座しているEMIフィルタは、1MHz~1GHzで40dB以上の損失が得られながら直流抵抗が0.8mΩと、かなり効果的です。
ムラタのEMIフィルター(BNXシリーズ)はここ

電源トランス
 電源トランスは、ドイツ製 Nuvotem Talema 製のトロイダルトランスを用い漏れ磁束の最小化を目指します、部品の性能には不足は無く、後は実装の知識とテックニックが問われるだけです。
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実装
 殆どの受動部品がチップです。特にTPS7A4700のハンダ付けが難しく、新たなハンダ鏝を購入する事になりました。
 又、ヒートシンクの取り付けが難しく、熱伝導性シリコーン系接着剤(熱伝導率7W/mK)で装着する事が出来ました。
 二電源のノイズの基となるパイロットランプのLEDは、動作確認後、片足を切りNull化する予定です。

今後の予定
 DAC、電源、i2sアイソレーター、LVDSトランシーバーが揃ったので、今週から音出しを行い、動作確認が出来次第ケーシングを開始する予定です。

Soekris dam1021 Sign Magnitude R-2R DACの入手

 ケンさんにマルチビットのDAC基板の存在を教えていただきまして、Soekris dam1021 Sign Magnitude R-2R DAC(0.02% resistor version)を早速入手しました。入手先は、米国のSoekris Engineering, Inc.から直販で入手しました。Soekris Engineering, Inc.はカリフォルニア州 Scotts Valleyにあり、FedEx International Economyで5日程で入手できました。
 R-2R network型式のDACの場合、そのラダー抵抗の相対精度により分解能が異なり音質に直に反映します。製品として、0.01%、0.02%、0.05%の三種類がありますが、Price/Accuracy から、バランスの良い0.02%を入手する事としました。

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 R–2R resistor ladder networkですので、基板上に相対誤差0.02%のチップ抵抗がビッシリ並んでおり、青大将(Elaphe climacophora)の鱗の様です。24ビットですが、そこまで分解能を有すほど精度が確保されているか気になるところです。ラダー抵抗の誤差が0.02%だと13bit~14bitの精度が限界かと思われます。
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 マルチビットDACは、テキサス(BURR-BROWNブランド)のPCM1704が有名で、製造の歩留まりが悪く、今でも6,000円ほどの価格で入手可能です。これとは別に現在でもマルチビットDACを主力商品としているMSB Technology Corporation(1986年創立)が有ります。 「何時かはクラウン」ではなく、「何時かはマルチビットDAC」の音が聴きたくて、入手に至りました。 MSBのDACと同じとは思いませんが、少しでも同じ方向の音が出せれば幸せです。

MSBのDAC
http://www.msbtech.com/

機能概要
 基本機能としてR-2R (加算型)DAC機能をサポートするフリンジの機能が盛り沢山です。詳細は追って少しずつ理解しながらハンズオンするとして、概要は以下のとおりです。ハイライトは、R-2RDAC他に、シリアルインターフェース(RS-232C)とWindows Tera Term を用いて、ファームウェアーの更新が出来て、DSD、FIR(カスケード状のデジタルフィルター)、マスタークロックの出力等が出来きます。
 この基板を3セット入手して、FIRのフィルターでi2s入力のチャンネル・デバイダーを構成する事が可能ですね。

初期機能
The initial release (“v1) of the firmware together enables the following features:
 1. I2S input up to 384KHz sample rate (tested to 192KHz)
 2. SPDIF input up to 192KHz (tested to 96KHz)
 3. Automatic De-emphasis for 44.1KHz material
 4. Built-in set of simple FIR filters for all sample rates
 5. Digital volume control through simple potentiometer
 6. Automatic input selection
 7. Data reclocking: s/w PLL with 0.02 Hz low pass filter
 8. S/W interface (serial interface) allows:
  1. Volume control (e.g. with Arduino and RS232 interface)
  2. Input selection (e.g. with Arduino and RS232 interface)
  3. Loadable FIR filters including bypass filter for NOS support.
  4. Firmware update/upgrade

ファームのアップで実現する機能
 1. DSD support
 2. Filter cascading for digital crossover
 3. Filter cascading for balanced use
 4. Master clock output
 5. 4 FIR1 filters for each sample rate selectable through
     the serial port with a default selection (#2)
  o Linear Phase
  o Medium, optimized mix between Linear Phase and
    Minimum Phase
  o Soft, mostly Minimum Phase but not that good alias rejection
  o No filter, also called non oversampling, no alias rejection
 6. Improved response for FIR2 filter which will be modified to be
    pretty soft….
 7. Enabled TTL-level serial port on the isolated side (3.3v)

マルチビットとシングルビットの音
 ・ マルチビットDAC :力強い、重厚、芯がしっかりしている、鮮やか
 ・ シングルビットDAC:繊細、さわやか、エコーが不自然、一部の音が欠落

今後の計画
 先ずは、R-2RのDACとしてトラポとi2s(Non LVDS)で音出しを行い、ケーシングを行います。
 次のステップはファームウェアーを更新して、DSDの機能を実現する予定です。
 しかし、DSDを聴いて良い印象が無く、96kHz/24bitの方が好感触を得ています。
 さて、どうしたものか・・・