スリーウェイ・スピーカーのパッシブ・ネットワーク

 スリーウェイ・スピーカーの場合、音質面ではマルチアンプでドライブするのがベストだと信じてきましたが、手軽に音楽を楽しむという趣旨では、パッシブ・ネットワークの方が優れていると思います。しかし、低域の分解能を期待すると、マルチアンプの方が、安直に優れた特性が実現できます。今回は、敢えて現状から得られるデータに基づき、パッシブ・ネットワークを設計して見る事にしました。ネットワークを構築するかは、得られた結果如何により考えたと思います。

測定に用いた機器
 測定ソフトとしてARTA、LIMPが考えられますが、操作ミスでサウンド・ボードを壊す可能性が有るのと、測定用の治具を準備するが面倒なので、Jigs and toolsとして OmnimicとDatsを用いて測定する事にしました。
Dayton Omnimicは、キャビネットに格納した状態で周波数毎の音圧(dBSPL)、インパルス応答、歪率、位相の回転を測定します。又、Dayton Datsは、キャビネットにドライバーを格納した状態でインピーダンス、位相特性を測定します。物理的な質量については、ドライバーにスケールをあてて計ったり、測定不能の場合はブローシャから数値をプロットしますが、可能な限り実測する事が好ましいと言えます。
ドライバー毎に可能な限り以下の項目を集約します。
  Maximum Excursion (XMax) mm
  Motor Stregth(BL)
  Maxmum Power(pe)
  Efficiency
  Piston Aria(Sd)
  DC Resistance(Re)
  Mechanical Q(Qms)
  Electrical Q(Qes)
  Total Q(Qts)
  Compliance(Vas)
  Voice Coil Inductance(Le)
  Voice Coil Series(Li)
  Voice Coil Resistance(Ri)
  Free Air Resonance(Fs)

ユニットオリジナルの測定結果
Original_Full.jpg
 各ドライバーの能率はL-PADで後々解決するとして、ドライバーの得意とする帯域をカスケード状に並べて、めのこで使える帯域を選びます。

インピーダンスと位相特性
 シミュレーションを行う場合、インピーダンスと位相の特性に関する情報が無いと行えません。
低域
XLow_p.jpg
低域の位相角0°の位置(周波数)は概ね21Hz付近となっています。

中域
XMid.jpg
古典的なスコーカーなので、インピーダンスのピーキング・ファクターが大きいです。本来はZobel Circuitによる補正( (Impedance Stabilization)が必要かと思われます。

高域
XHigh.jpg
意外とフラットでは無いです。

ネットワークの回路図
 Speaker Workshopを用いて、変則的な二次の回路を作成しました。インダクターのテンコ盛りで、切れの悪い低音で、音のスピード感が無さそうです。
低域~中期 600hz
中域~高域 2,200hz
Network.jpg

シミュレーションの結果
SIM.jpg
 まあまあ、フラットです、7kHz付近のなだらかな山は、煩く感じる事が想定されます。又、250hz~700Hz付近の山も人間の声が被ってソノリティの悪化が想定できます。このあたりを対処しないと実用に供さないと思われます。

一次のネットワークとシミュレーションの結果
一次のネットワークを試して見ました、単純な割りに良い結果が得られました。この感じだと一寸歪っぽく感じますが、音場感豊かなクラシック向きと言った感じになると思います。やはりウーファーのブレークアップが気になります。
1stORD.jpg
 
考察
 シミュレーション結果から経験則では、取り合えずスリーウェイ・スピーカーとして動作しますが、回路定数を調整する必要があると思います。又、データ自体の取得が1mのニアフィールドの値ですので、聞く部屋の特性を考慮した後、好みの音まで持って行くには爾後に根気強く調整が必要です。最終的には、使う受動部品の特性により更なる調整が必要になる筈です。 残念ながら、音場感、リアル感については、アライメンの解決が出来て無い為、ドライバーの位置調整で行うしかありません。やはりデジチャンの方が歩がありそうです。

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