フローティング・スピーカーの実験

スピーカーの据付方法
 スピーカーを据え付ける時、強固に固定する方法と、水面に浮くが如く擬似的に浮かす方法があります。強固に固定する方法として、基礎にアンカーボルトを打って、それに固定する方法とか、厚い石の上にワイヤーで固定する合理的な方法とか、様々です。一方、浮動(浮遊)の場合は、バネ、ワイヤー、ゴムひもで吊るして、擬似の浮遊状態を作り出します。又、これを実現する装置も販売されています。未だ、磁力で浮かす方式の物は無い様です。

音の変化の尺度
 据え付け方により、以下の様な音の変化がありますが、厳密には、使用する媒体の伸縮性・可塑性を定量化した物理量での評価では無く、単純に音を聴いた場合の一般論が先行して、理解し難い数式が後追いで添えられています。

・固定した音の傾向
  低音が出る
  アタック感が出る
  中途半端に行うと床鳴りがする
・浮動とした音の傾向
  低音の濁り(混変調)が減少する
  什器、床との共振による重低音が減少して軽く感じる
  パワー感が削がれた様に感じる(アタック感の減少)
  浮動化素材(スプリング、ゴム等)固有の音がする

スピーカー設置方法の再考
 今までは、スピーカー・スタンドとキャビネットの間に、ガラスのインシュレーター (insulator)を挟んで、三点支持を行ってましたが、低音の膨らみ、床、壁への振動の伝わり等から、低音に混変調歪が生じて、音が濁ってました。そこで、解消方法として、フローティングの方法を試す事にしました。
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フローティングの方法
 浮動装置を調べると、その殆どが、二次元動作に赴きを置いた物であり、上下(三次元)の浮動に対してそれ程優れてない事が解りました。又、鋼線とスプリングを使っている為、可聴周波数帯での共振(分割振動)が存在します。
 ※鋼線で吊り下げて、上下方向は板バネでダンピングしてます。
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 再生時にスピーカーキャビネットに手を添えると、前後に加えて上下の振動が、かなり有る事がわかります。それは、スピーカー・ドライバーが、バッフル板のど真ん中になく、上下にオフセットされており、ウーファーの中心分部に力点が集中するため、単純なピストン運動では無い事が推測できます。
 以下の様に、スピーカー(力点)が、重さの中心(支点)を中心に回転運動(作用点)となり、結果として回転運動に近い上下の振動が盛大に生ずる訳です。
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 そこで、既製品の二次元の移動に傾注したフローターから、極めて簡易な方法でかつ三次元のフローティングが出来る、ゲル状の緩衝材を置く事で、実験をしてみました。ゲル材の緩衝材は10mmの厚さがあり、耳たぶ程度の柔らかさのものを、少量置く事にしました。大量に置くとフロート動作がスポイルされます。
DSC01708.jpg

肝心な音
 10hから50Khzに渡って、正弦波のスウィープを行いましたが、スピーカースタンドと床に振動が殆ど伝わる事なく、スピーカーの近くに置いてあった、オーナメントの共振も減り、充分期待できます。
 実際に音楽を聴いてみると、低音の純度が増しています。音の迫力は一寸減少していますが、明らかに低音の混変調は減少しています。これで、ミッドレンジスピーカーのフローティングと相成り、雑味の無い、アタック感のある音に調整できた様です。

歪率での比較
 音を聴いた感じでは、低音がスッキリした感じになりました。そこで定量的に歪率の変化を調べる事にしました。
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赤:音圧(平均92.5dB) 青:歪率(第二~第五高調の合計)

 結果、大きな数値の変化は見られませんでした、しかし、スピーカーに対する入力が同一ながら唯一明確な差として、50Hzの歪率がグラフで解る様に5dB程低くなっています。又、全体的に音圧が、周波数にによっては僅かですが、1.0dB~1.5dB程下がっています。周波数特性1.0dBの音の差は解りますので、この試みは成功と言って良いと思います。
 今回は歪率の差を調べましたが、加速度センサーを用いて、ホワイトノイズのスペクトラム変化状況を知るなど、より最適な測定ツールで、試してます。

フローティングの状態
 フローティングの結果は以下のとおりです。


今後の予定
 今のところ、良い結果が得られているので、この環境で聞き込んでみます。
 ちなみに、周波数特性は、イコライザーでの補正を必要とせずにフラットです。この状態で音楽を聴くと、自然でアタック感があります、そして煩く感じません。
 鋼線の吊り下げと板バネのフロート方式は、振動の内部損失を最適化すれば、結構簡単に作れそうなので、何れ作って実験して見ますが、恐らくゲル状の緩衝材を越える物は無い様な気がします。




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