Soekris dam1021 のビルドその3

Soekris dam1021の動作確認
 マルチビットDACの試運転も佳境に入り機器、音質とも安定期に入りました。
 HDMI(LVDS)によるi2sのフックアップも終えて、連続運転を行ってもトラブルは皆無で正しく評価出来るフェーズに入ることができました。
DSC01235.jpg
 ラダー抵抗の集合分部に簡単な防塵用のカバーを設けました。

仕様概要
spec.jpg

 音質面で明確なった点は、R-2Rからのダイレクト・シングルエンド(RAWデータ)より、バッファーアウトされたシングルエンドの方が、インピーダンスが低く、低域の音が美しく感じます。ダイレクト(RAW)の電流出力は、何らかのバッファー(I/V変換)を付加して、音の変化を楽しむか、電流入力のフロントエンドを持つアンプに接続するなどのバリエーションが、楽しめる仕様です。
 出力ゲイン調整用のポテンショメータをつける事によりデジタル・ボリュームが作動しますが、今回は、操作性と音質を優先して、デジタル分部での情報落ちを避ける為にボリューム無しの方法をとり、0dB/2Vrmsの出力となっています。しかし、このボリューム無しの方法は、一寸ゲインが高く、ハイゲインの時に音の歪を感じますので、今後の課題として、先の楽しみに取って置きます。
 今回採用したTI製のTPS7A4700安定化電源で、唯一気に入らない点として、出力のインピーダンスが高いことです。それを補うべく、880μのタンタルコンデンサーを追加しました。これにより低域の分解能が向上しました。
DSC01231.jpg

マルチビットDACとシングルビットDACについ
 DACには、古くは積分型とかがありましたが、現在はシングルビット型とマルチビット型に区分されます。シングルビット型は、普及機から高級機まで幅広く採用されており、それを並列に繋いだり、クロックを高確度にして、何とか商品の差別化を図っています。それに対してマルチビット型は、超高級機か、自作しか存在せず、極めてニッチな世界と言えます。
 シングルビット型、マルチビット型の動作原理については、それ専用のコンテンツを参照した方が、正確ですので触れない事とします。

音の特徴
 可聴帯域内の特性にはそれほど大きな差はありませんが、シングルビットDACではマルチビットDACに比べてデコードの方式から帯域外ノイズが非常に多くその為に強力なローパスフィルターが必須あり、そのフィルターの出来不出来により音質が大きく異なります。
 強力なローパスフィルターにより損なれた可聴外広域を意識的に補い、エコー感が不自然に感ずるのが、シングルビット方式の特徴と言えると思います。

メリット・デメリット
 マルチビットは、変換の直線性を保つのが難しく誤差を生じやすいと言えます。そのうえラダー型の抵抗の精度でリニアリティーが決定されてしまうため、大量の抵抗からマルチビットDACの商品グレードに相応しい抵抗を選別する力作業があります。
 同様にDAC-ICを量産するという意味では、抵抗の精度を得る為に、抵抗をレーザーによりトリミングの調整を要します。生産コスト的に難しい部分があり、その為に製品が割高になってしまう傾向にあります。
 サンプリングで、処理サイクル毎にその瞬間の電圧や電流を表現可能で、時間的なズレが発生しないので、アタック音などが明確であり、トランジェントの良い音の表現が構造的に可能となります。音に力があり厚いと感じるのがマルチビットDACの特徴であり優位点といえます。
 対する方やシングルビット方式は、⊿Σ変調(ノイズ・シェーピング)により1と0からなるPWM(パルス幅変調)もしくは、PDM(パルス密度変調)に変換しているので静特性において誤差が少なく直線性が良いと言えます。量子化で発生する誤差の蓄積を次のサンプリングへと加算して、その積み重なった誤差が量子化器の敷居を超えた時に初めて出力へと現れるという原理から、どうしても遅延が発生する事は避けられません。やはりシングルビットDACは、エコー感、量子化の遅延から不自然な音に聞えるのは当然で、マルチビットは価格面のみにデメリットがあるものの、抵抗の精度が確保出来れば、理論的には理想的な訳です。一寸言い過ぎですが、シングルビットDACはマスプロ化の為の妥協の産物と言えなくも無いです。

今後の予定
 出力ゲイン調整用のポテンショメータは、Cカーブ又はBカーブを要求しており、設計ミスの様に思えます。又、音質も好ましくありません、ファームウェアーの更新で解決する事を期待します。基本的に不要と思われます。
 近日中に、DACの音を正しく評価出来る環境にて、一世代古いSoekris dam1021、MSB、ES9018S、ES9018K2M、AK4399、上野式ラダー型のヒアリングテストを行う予定です。
 ところで、このDACの名称が "Soekri" とありますが、設計者のデンマーク人 Soren Kristensen からきているのですね。

コメントの投稿

非公開コメント