電子ボリューム4Wayの音出しその1

 電子ボリュームを正月が明けて余裕ができたので、完成させました。
 今回は、筐体は実験のために簡易に作り、音の確認に重点をおきました。
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音の印象
 組み上げて、最初の音の印象は、結構良いと感じました。
 AVアンプの様な音を連想していましたが、低ノイズで、割と存在感がありません。
 カーボンのポテンショメータと比較しましたが、電子ボリュームの方が良かったので、ほっとしました。
 試しに、4チャンネルをシリーズに接続して、電子ボリュームの個性を誇張して音を聴きましたが、それほど酷くはない様です。
 この電子ボリュームに使われている、バーブラウンの電子ボリュームPGA2311A(電源5V)は、Jeff Rowland Coherenceに使われたCirrus Logic IncのCS3310(電源12V)に照準を合わせて作ったピン互換の電子ボリュームチップです。しかし、電源電圧の5Vは決定的にダイナミックレンジ確保の観点からすると、かなり不利になる事は、いまから想像できます。

工夫
 電源にシールド付きのカットコアートランスを用い、安定化を二段、大容量のコンデンサーでリプルを排除した効果が得られて、良質な電源が得られました。その為に結構大型の筐体で、MSB社のMVCと同じ程度の大きさになりました。
 電源等を真面目に作ると、この程度の大きさは避けられない様です。
 又、コネクタ類は信頼性が高く、接点が銅製のオムロン製にしました。
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製作での問題点
 実は、配線が大変でした。
 一度、Gothamのシールドケーブルで配線を行ったのですが、8チャンネル(16回路)分をシールドケーブルで配線したら、汚らしいジャングル配線となったため、再度単心線で製作しなおしました。

 単心線のシールド無しで、丁寧に配線しました。
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ロータリエンコーダを止めてポテンショメータにした理由
 リモコンのポテンショメータを入手して、動作確認まで行い、制御用に投入する予定でした。
 しかし、残念な事に、そのリモコン・ポテンショメータの動作が鈍い事と、バックラッシュが大きいので、取り敢えず止めました。リモコンは、別途検討して、それが上手く行くまでは、極普通の31φのポテンショメータを使う事にしました。

ロータリエンコーダの難しさ
 ロータリ・エンコーダのパルスとPGA2311のアッテネーション・ステップの比率が1:1の状態でPGA2311の-95.5dBから0dBまでの全アッテネーション幅255+1ステップをカバーするには256パルスが必要です。
 ロータリ・エンコーダは、1回転あたり10~32程度のパルスを出力するので、-95.5dBから0dまで制御するのに何回転もロータリ・エンコーダのノブを回すことになります。
 ロータリ・エンコーダを使う場合は、PICのソフトが加速型でプログラミングされてないいと使い物になりません。
 この部分は、電子ボリュームの肝の部分であり、それが良く出来ているのが、Jeff Rowland Coherence、Capriと言えます。
 ノブを回転する速度を検知して、アッテネーション・ステップ比率をダイナミック(動的)を変える必要があります。
 これは、リモコンのボタンを長押し、寸押しにより比率を変えるのと同様ですね・・

電源オンオフ時のノイズ
 電子ボリュームの電源を切らないで使う事になると思います。
 試しに、アンプ、スピーカー等を繋ぎ、最後に電子ボリュームの電源をオンオフとした場合の実験を行ったところ、気絶しそうな位のポップノイズが生じました。

 原因は、電子ボリュームチップに電源が投入されると 100msの間に出力は、ハイ・インピーダンスで、爾後 急にローインピーダンスになる事が解りました。この時、電子ボリュームの出力側のメインアンプの入力抵抗が高いと、インピーダンス変化により、DCアンプと同様にノイズが発生します。これを抑える為に電子ボリュームの出力と GND間に 数k ~数10kの抵抗を入れると小さくなると思われます。しかしこの方法だと、アンプの入力インピーダンスにより周波数特性が変化するので、ベストの方法と良いとは思えません。
 別の方法として、電源リセットIC M51953BL(ルネサステクノロジ)を用いて電源投入時より約1秒の間ミュート端子をLowとして回路が安定するまでPGA2311の出力を遮断する工夫が必要です。
 電源ONはこれで良いとして、OFFはどうしましょう。 年増の厚化粧 ・・・やれやれ。
 継電器は嫌いだし、困りました・・・

電子ボリュームのおすすめ度は・・・
 やはり、音にオペアンプの色が付きます。
 そこで、あくまで個人的な結論ですが、若し入手可能で有れば、多段のポテンショメータでは無く、アッテネータ(定インピーダンス)がベストだと思います。
 減衰のピッチが-2dBでも、回路を工夫すれば、幾らでも微調節が可能ですし、47ポジションのアッテネータも市販されているので、その様な選択もありかと思います。

次のステップ
 もう少し聞き込んで、良い結果が得られたら、高級なケースに納め直して、リモコン機能を付加します。
 忘れていたパイロットランプ(不要かも)、減衰量を数値で表示する表示パネルを設けます。
 駄目でしたら、お祓い箱・・・・で、電源は3Wayアナログ・チャンデバに転用します。
 
測定結果と考察
青が入力側、赤が電子ボリュームの出力側です。
1000Hzの矩形波は、特に問題ありません、この周波数で違いが生じたら使い物になりません。
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50kHzの矩形波ですが、これも特に問題無い様です。
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20Hzの正弦波ですが、多少位相のズレが生じていますが、問題無い範囲と思われます。
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 測定結果等考察すると、ハム等のノイズも乗らず、実用上、全く問題無いのですが、測定結果に表れない音質については、何とも言えない状況です。
 今回使用したオペアンプ(BB社OPA2134)の音が好みなので、程々に良い評価になりました。電子ボリュームチップは、CS3310等オペアンプ機能の無いものを選び、好みのオペアンプで低インピーダンスで、ドライブするのが、お勧めです。
 電子ボリュームチップは、抵抗アレーを電子的に切り替えるICですから、音への脚色は余り無いのですが、それをドライブするオペアンプが曲者で、総てがそれにより決定されます。無いのがベストです。
 若しチャンネルデバイダーの出力インピーダンスが十分低いのであれば、CS3310を用いてオペアンプ無しの構成にすると、良い結果が得られると思います。

 それから・・・作って解ったことですが、単体の電子ボリュームで、まともの物は、極めて少ないといえることです。
 

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No title

 綺麗にできましたね。高望みしなけれそこそこの性能は出ていると思います。
 便利さをうまく生かせばこれはこれで充分役に立つのでは。

Re: No title

ishidaさん コメントありがとうございます。

 今まで自作で良い音だと思った事が無いですが、今回の電子ボリュームは結構良い音です。
 今週末の三土会(手作りアンプの会オフ会)にて、辛口で耳の肥えている大勢の方に評価していただく予定です。

 Cirrus Logic IncのCS3310、オペアンプの換装等も楽しめそうです。