4Way FIR デジタル・チャンネルデバイダー

現在、FIRのデジタルチャンネルデバイダーは、Minnさんが作られたfoobar2000の3Way(6チャンネル)のプラグイン(コンポーネント)で構成された「channeldivierF3B Ver0.64」を用いています。音質、機能面で優れており、極めて安定した動作で、ドキュメンテーションも完備して言う事が無いのですが、ちょっとした遊び心で、4WayのFIRのデジタル・チャンネルデバイダー(8チャンネル)の味見をしてみました。
channeldivierF3B Ver0.64の詳細

4WayのFIRデジチャン
foobar2000の3Wayのプラグインの版権は、Minnさんが所有されており、その他の権利は、AEDIO Japan(新宿区牛込)が所有しています。AEDIOJapanは、高い技術力とノウハウを持つオーナーによる日本のハイエンド・オーディオの草分け的な会社です。ここでのハイエンドという意味は価格帯ではなく、技術力という意味です。そのAEDIO Japanが試行的に開発した、4WayのFIRのチャンデバです。それを使い熟すには、それなりの技術と覚悟が必要です。特にマルチ・チャンネルのマッピングが、難しいと思います。

導入する上での覚悟
導入する上での、PCオーディオに対する基本的な知識が求められる事と、覚悟とは、導入を失敗すると、トゥーイータ等を飛ばす可能性が有ることです。その為には、DACの出力からDC成分を出力された時にカットする、保護用の大型フィルム・コンデンサーでの保護を自己責任で行う等、全ての導入のリスクを自己責任で負う覚悟が必要です。

4Way画面
以下の様に、4Way(8チャンネル)の設定が可能です。遮蔽の周波数をアブソリュートで指定できますが、遮蔽特性は、其時のサンプリング周波数とFIRフィルターのタップ数にて決定されます。
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4Way-FIR.jpg

調整は、測定、試聴を繰り返して、最適値を求める手間が掛かります。そのため、結構、導入のハードルが、3Wayに較べて高く、更に、最低の測定機材として、ARTA、omniMIC等の計測システムが必要です。そして、その測定結果を読んで理解する必要があります。

以下が、4Way(8チャンネル)をアサインして出力した場合です。
出力の状態を目視可能な様に、ピークメータとスペクトラムを表示しています。
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4Way.jpg

チャンネル・マッピング
foobar2000から見た場合の出力チャネルを実際、オーデイオ・インターフェースのどの出力チャネルに相対させるかのマッピングが必要です。HDMI(LDVS)を用いてAVアンプに4Wayの出力を行うことが可能ですが、AVアンプのメーカー(機種)により、フロントの左右以外は、実際に出力しないと解りづらい場合が多々あります。最悪の場合、7.1chのAVアンプながら、3Way(6チャンネル)が限界の機種もあります。総じて古いAVアンプでのマルチアンプ化は成功しません。
以下の様に分割された帯域を、どのチャネルにアサインするかをマッピング・ソフトで、定義します。
マトリックスの数値は出力するゲインを指定します、ここでは、ソフトによるゲイン調整なので、1以外の指定は避けた方が、音質面で問題が少ないと思います。この値は、小数点以下を指定出来ますが、調整中の緊急避難的な使用に限定して、可能な限り1になるように、物理的なアッテネータ(ポテンショメータ)で後日フィックスする方法が、好ましいと思います。
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Y軸: ソフト出力チャネル(foobar2000出力側)
X軸: レンダラーチャネル(ASIO出力側)
Matrix.jpg

チャネル毎のゲイン
チャネル毎のゲインは-3dBを守る必要があります。-3dBをゲインとして指定する根拠は、ホワイト・ノイズを最大音で再生した場合、-3dBを上限としないと、オーバーフローにより、2進数のマイナス(オールマークビット)となり、オーディオ・インターフェースによって、直流が出力される可能性が有るため、それを避ける為の安全策です。

AVアンプの問題点
AVアンプの殆どが、フロント左右のアンプ、DACに較べて、其れ以外のチャンネルが手抜きで、安物のDACとアンプで構成されています。品質の悪いアンプが大事な中域、高域にアサインされるので、AVアンプを求める場合、全チャンネルのDACとアンプが均一で、優れているものが必須となります。音質を気にする場合は、マルチチャンネルのオーディオ・インターフェースを求めるべきだと思います。

4Wayのチャンデバの存在
現在、存在する4Wayのチャンデバとして、アキュフェースのDF65、終息したばかりの最高傑作 dbx Driverack4800。又、自作を覚悟すれば、MiniDSPのMiniSharkがあります。全てアナログデバイセスのDSP Sharkを用いており、いずれも実用範囲ではIIRフィルターに限ります。パソコンの強力なパワーを用いたFIRのチャンデバで探すと、S&KAudioの専用のオーディオ・インターフェースとのバンドル・システムのMPP.DSPがあります。初期投資が高額で、他のシステムとの互換性が無く、一発勝負のシステムです。以上の事柄からすると、foobar2000の4WayのFIRデジチャンは、一時的に味見をするには最適なシステムと言えます。但し、高品質で多チャンネルの出力が可能なRME Fireface UFX+の様なオーディオ・インターフェースが必須です。チャンネル毎にDACを複数用意する事も可能ですが、DACのクロック同期、ゲインの調整、リニアリティー、位相の回転制御を考えると、DACをバラバラに用意することは好ましく無い言えます。

肝心な音
IIRのチャンデバとFIRのチャンデバで、音質面での最大の差は、IIRの場合、リスニングポイントにアライメントを合わせると、その場所では、快適に聴けるものの、それ以外の場所では、位相差により少々違和感を感じます。しかし、FIRのチャンデバを用いますと、聴く場所での音の変化が少なく聴くことが出来ます。