RASDAC+ Proの作製

 今までのRaspberry Pi を用いた、DACとMPDの殆どが、デジタル信号のBCLK(bit clock)からMCLK(Master Clock)を生成しています。その為か、音質面ではトランジェントは良のですが、音楽を聴いていると、再生される音楽の音程(ピッチ)が狂っている錯覚に陥る事が多々ありました。その様なマスタークロックの致命的な問題とノイズ対策等、改善点のバックログに対して、一矢報いる趣旨で、手作りアンプの会のI氏が設計された、高機能、高性能なRaspberry Pi用のDACです。

製作会の様子
皆さん、ルーペが手放せません。
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機能概要
・アナログ、デジタルの信号の総てが、アイソレータにより分離
・DACのクロック(MCLK)は、Raspberry Piのクロックを用いず、
 独自の低位相ノイズ発振器で供給
・i2SのWDCLK、SCLKは、DAC側からRaspberry Piへ送出
・電源をアナログ、デジタルの2系統に分離
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作製にあたって
 DACを構成する部品の数が多く、又、Raspberry Piの大きさに合わせて、チップ1608を使用しており、ハンダ付けが、極めて困難です。ハンダ付けを行うに際して、ルーペ、実態顕微鏡が必須となり、ハンダ鏝も鋭利な物が必要となります。
 チップ1608とは、横縦幅が:1.6mm×0.8mmの大きさの部品です。

専用電源
 今回の作成したDACを、活かすも殺すも電源次第なので、専用のシリーズ電源を用意しました。電源はLDOを用いた5V、2系統です。デジタル系、アナログ系の2系統の供給に用い、更にクロック用の電源とLVDSのセンダー(送信)用に設ける予定です。
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i2S出力
 今回搭載しているDACは、スペースの狭隘度から、バーブラウンのPCM5122ですが、i2S信号のTTLレベル出力と、LDVSの送信機を搭載して、HDMIケーブルで、i2Sでのフックアップが可能な仕組みとします。それにより幅広く好みのDACと接続が可能となります。

4Way FIR デジタル・チャンネルデバイダー

現在、FIRのデジタルチャンネルデバイダーは、Minnさんが作られたfoobar2000の3Way(6チャンネル)のプラグイン(コンポーネント)で構成された「channeldivierF3B Ver0.64」を用いています。音質、機能面で優れており、極めて安定した動作で、ドキュメンテーションも完備して言う事が無いのですが、ちょっとした遊び心で、4WayのFIRのデジタル・チャンネルデバイダー(8チャンネル)の味見をしてみました。
channeldivierF3B Ver0.64の詳細

4WayのFIRデジチャン
foobar2000の3Wayのプラグインの版権は、Minnさんが所有されており、その他の権利は、AEDIO Japan(新宿区牛込)が所有しています。AEDIOJapanは、高い技術力とノウハウを持つオーナーによる日本のハイエンド・オーディオの草分け的な会社です。ここでのハイエンドという意味は価格帯ではなく、技術力という意味です。そのAEDIO Japanが試行的に開発した、4WayのFIRのチャンデバです。それを使い熟すには、それなりの技術と覚悟が必要です。特にマルチ・チャンネルのマッピングが、難しいと思います。

導入する上での覚悟
導入する上での、PCオーディオに対する基本的な知識が求められる事と、覚悟とは、導入を失敗すると、トゥーイータ等を飛ばす可能性が有ることです。その為には、DACの出力からDC成分を出力された時にカットする、保護用の大型フィルム・コンデンサーでの保護を自己責任で行う等、全ての導入のリスクを自己責任で負う覚悟が必要です。

4Way画面
以下の様に、4Way(8チャンネル)の設定が可能です。遮蔽の周波数をアブソリュートで指定できますが、遮蔽特性は、其時のサンプリング周波数とFIRフィルターのタップ数にて決定されます。
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調整は、測定、試聴を繰り返して、最適値を求める手間が掛かります。そのため、結構、導入のハードルが、3Wayに較べて高く、更に、最低の測定機材として、ARTA、omniMIC等の計測システムが必要です。そして、その測定結果を読んで理解する必要があります。

以下が、4Way(8チャンネル)をアサインして出力した場合です。
出力の状態を目視可能な様に、ピークメータとスペクトラムを表示しています。
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チャンネル・マッピング
foobar2000から見た場合の出力チャネルを実際、オーデイオ・インターフェースのどの出力チャネルに相対させるかのマッピングが必要です。HDMI(LDVS)を用いてAVアンプに4Wayの出力を行うことが可能ですが、AVアンプのメーカー(機種)により、フロントの左右以外は、実際に出力しないと解りづらい場合が多々あります。最悪の場合、7.1chのAVアンプながら、3Way(6チャンネル)が限界の機種もあります。総じて古いAVアンプでのマルチアンプ化は成功しません。
以下の様に分割された帯域を、どのチャネルにアサインするかをマッピング・ソフトで、定義します。
マトリックスの数値は出力するゲインを指定します、ここでは、ソフトによるゲイン調整なので、1以外の指定は避けた方が、音質面で問題が少ないと思います。この値は、小数点以下を指定出来ますが、調整中の緊急避難的な使用に限定して、可能な限り1になるように、物理的なアッテネータ(ポテンショメータ)で後日フィックスする方法が、好ましいと思います。
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Y軸: ソフト出力チャネル(foobar2000出力側)
X軸: レンダラーチャネル(ASIO出力側)
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チャネル毎のゲイン
チャネル毎のゲインは-3dBを守る必要があります。-3dBをゲインとして指定する根拠は、ホワイト・ノイズを最大音で再生した場合、-3dBを上限としないと、オーバーフローにより、2進数のマイナス(オールマークビット)となり、オーディオ・インターフェースによって、直流が出力される可能性が有るため、それを避ける為の安全策です。

AVアンプの問題点
AVアンプの殆どが、フロント左右のアンプ、DACに較べて、其れ以外のチャンネルが手抜きで、安物のDACとアンプで構成されています。品質の悪いアンプが大事な中域、高域にアサインされるので、AVアンプを求める場合、全チャンネルのDACとアンプが均一で、優れているものが必須となります。音質を気にする場合は、マルチチャンネルのオーディオ・インターフェースを求めるべきだと思います。

4Wayのチャンデバの存在
現在、存在する4Wayのチャンデバとして、アキュフェースのDF65、終息したばかりの最高傑作 dbx Driverack4800。又、自作を覚悟すれば、MiniDSPのMiniSharkがあります。全てアナログデバイセスのDSP Sharkを用いており、いずれも実用範囲ではIIRフィルターに限ります。パソコンの強力なパワーを用いたFIRのチャンデバで探すと、S&KAudioの専用のオーディオ・インターフェースとのバンドル・システムのMPP.DSPがあります。初期投資が高額で、他のシステムとの互換性が無く、一発勝負のシステムです。以上の事柄からすると、foobar2000の4WayのFIRデジチャンは、一時的に味見をするには最適なシステムと言えます。但し、高品質で多チャンネルの出力が可能なRME Fireface UFX+の様なオーディオ・インターフェースが必須です。チャンネル毎にDACを複数用意する事も可能ですが、DACのクロック同期、ゲインの調整、リニアリティー、位相の回転制御を考えると、DACをバラバラに用意することは好ましく無い言えます。

肝心な音
IIRのチャンデバとFIRのチャンデバで、音質面での最大の差は、IIRの場合、リスニングポイントにアライメントを合わせると、その場所では、快適に聴けるものの、それ以外の場所では、位相差により少々違和感を感じます。しかし、FIRのチャンデバを用いますと、聴く場所での音の変化が少なく聴くことが出来ます。

手作りアンプの会200回記念アンプ完成

 年末に放置してた200回記念アンプを、取り敢えず完成しました。
 毎年夏に催されるお寺大会で、三土会200会記念の行事を行う予定です。その200回に纏わる、200のワードが含まれる作品を出品する事ですので、アンプを作製しました。

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片チャンネル200円のアンプ
 200円のPWMアンプで、PAM8006という型番です。このアンプの用-途として、テレビ、ラジオで、オーディオ用途ではありません。400円のスイッチング電源を入手したのですが、出来が悪くて、発火、発熱が心配なので、取り敢えず日本製のスイッチング・電源に代替して音出しを行いました。平滑キャパシターの総容量は、約0.1F (470μ×200個)です。

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肝心な音
 今まで、自作したアンプの中で、最低の音質です。しかし、エネルギー変換効率が最高90%超のアンプで、供給する電気エネルギから音声信号への変換が高いので、音質とは別の意味で素晴らしいアンプと言えます。EMIフィルターを施す等改善する余地が有りますが、200回記念のお寺大会で、10分程の再生の為に、これ以上に投資を行うのは如何なものかと思い、潔く、これ以上弄るのは止めました。

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このアンプの立ち位置
 フォステクスのフルレンジ・スピーカーを薄手のMDFキャビネットに収納して、ガンガン鳴らすのに合っていると思います。このアンプの歪っぽい音と、フォステクスの不必要に明るい音との相乗効果でJPOPを聴くのに最適と思われます。しかし、本来の使用目的は、エネルギーの変換効率から、バッテリーの持ち時間を気にするスマホ等、省エネ、省スペースを目的として使用されるアンプで、音質を求めて採用するのは如何なものかと思います。

DACとワードクロックの関係

 昨年、ノイズ対策中にネットワーク・オーディオの要であるDACを交換しました。従前のRME Fireface UCから、同社のUCXに交換(アップグレード)したのですが、その時には、気づかなかった事として、内部のSteady Clockと外部のワードクロックで、音質の差が、かなり有ることに気が付きました。ノイズ対策を行う前は、その差は僅かでしたが、ノイズ対策によりクロックの確度の差が、顕著に音質面に現れてきました。

RME Fireface UCX
フロントパネルWCが点灯して、ワードクロックの供給とロックを表します。
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クロックの見なし
 デジタル音源の要であるクロックを、以下のフローの様にコンディショナル・リサンプリングを行います。
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 基本的には、CD音源が大半なので、ルビジウムのワードクロックを176.4kHz(4逓倍)に統一します。CDの場合は、44.1kHzから2逓倍の88.2kHzとして、88.2kHz、176.4kHzのSACD系は、リサンプリングせずにそのまま再生します。48kHz,96kHz、192kHzは、176.4kHzにリサンプリングする仕組みです。あいにく48kHz系のダウンロードして購入したハイレゾ音源が不利になりますが、正直、ハイレゾの殆どが、高音質でありながら、良い演奏が少ないので、CD系を優先しています。48kHz系に傾注して聞く場合は、ルビジウムのワードクロックを192kHz(4逓倍)に切り替えて、音源はリサンプリングしないで、再生します。

クロックの違いによる音の差
 DAC内部のSteadyClockをベースに再生すると、言葉で表現が難しいですが、簡単に言うと、「つまらない音」です。それと較べて、クロックをルビジウムのワードクロックにすると、不思議な事に音場感が豊かで、艶やかになります。特に前後関係の音場感が豊かになり聴いていて、とても楽しいです。何故、このように為るか不思議ですが、ノイズ対策前は、この様な現象をそれ程に感じませんでした。一時、ルビジウム・クロックの使用中止を考えましたが、残して置いて良かったと思いました。

ワードクロックと内部クロック
 RMEのサイトでは、SteadyClock(ステディークロック)の優位性を図柄入で力説しています。確かに他の業務用DACに較べて優れています。それでもルビジウム・クロックの方が優れているのか不明です。
 分周により得られるワードクロックと内部クロックでは、かなりのハンディーがあって、用途が異なります。クロックの電源品質、クロックの立ち上がり波形、中心周波数近傍のスプリアス等、ディープな部分でよく解りません。取り敢えず音が良かったので、現時点では結果良しとします。

SteadyClock™
https://synthax.jp/steadyclock.html

バッハのブランデンブルク協奏曲

 久し振りに、ゆったりとした気分でレコードを聴きました。
 再生した曲は、バッハのブランデンブルク協奏曲です。この曲は「カール・リヒターとミュンヘン・バッハ管弦楽団 」と「アーノンクールとウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」のLPが好演奏で好みです。何れも1960年代のアナログ録音でありながら、素晴らしい演奏と録音です。未だこの演奏と録音を超えるレコードに出会った事がありません。

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カール・リヒター(写真右)
 ミュンヘン・バッハ管弦楽団
 ハンスハインツ・シュネーベルガー(ヴァイオリン)
 オーレル・ニコレ(フルート)
 カール・リヒター(チェンバロ)
 カール・リヒター指揮
 西独・ARCHIV 1967年1月 ミュンヘン

ニコラウス・アーノンクール(写真左)
 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
 ニコラウス・アーノンクール指揮
 古楽器
 西独・テレフンケン:1964年

色の褪せない素晴らしい録音
 リヒターの録音は独グラモホン系のバロックを得意とするアルヒーフで、アーノンクールは、泣く子も黙る、テレフンケンの「Das Alte Welk」の重量版です。現在、販売されているCDと比べて全く遜色無く、美しく再生ができます。特にテレフンケンのレコードは録音レベル(ゲイン)が高く、最近人気のある、ニセレゾを完全に凌駕していると思われます。

素晴らしい演奏
 やはり、圧巻は、BWV1050 Allegroのリヒター自らのチェンバロによる長めのカデンツァです。この部分を聴くと改めて、リヒターがバッハを奏でてるのでは無く、「バッハが、リヒターに託して演奏をさせている」と言った感じが充分に解ります。そして、この演奏と録音が、1960年代(半世紀前)であることに驚嘆します。

LPとCDの相違
 LPとCDを聴き比べると、LPの方が華やかです、別の言い方をすると、少々歪っぽく煩く感じます。CDの方が圧倒的に安心して聴くことができますが、テレフンケンのLPのは、LP、CDの違いを超えた、独特の音の響き、艶を感じます、これは、LPだからと言うことではなく、何か特別な事を感じるレコードです。

ブランデンブルク協奏曲全曲演奏会
2018年03月24日(土)にヤマハホールで演奏会があります。終わった後の二次会には銀座7丁目という場所は最高に良いです。
https://www.yamahaginza.com/hall/event/002849/

手作りアンプの会200回記念アンプの作製

 年が明けて、新たな気持で、手作りアンプの会200回記念アンプの作製を再開しました。

アンプの放熱対策
 PWMアンプのPAM8006Aは、最大出力時(15W/THD+N:10%)、Junction Temperature Range, TJ -40 to +125 ℃の範囲内を守る必要があります。400円のアンプなのに保護機構が備りダイの温度がジャンクション温度を超えると、自動的にシャットダウンされる仕組みです。そこで可能な範囲内で、安全策をとり放熱処理を行う仕組みとしました。

回路図
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ヒートシンク
 ヒートシンクは、10mm厚のアルミブロックに10mm角の純銅のブリッジを設けて、基板裏面のサーマル・トランソファー部分と熱結合を行い、放熱を行う仕組みとします。10WのPWMで矩形波の連続出力を行わないので、この程度で大丈夫だと思います。

送料込みで400円のPWMには見えません。
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左中央の銅が、基板からヒートシンクに熱伝導させるブリッジです。
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電源
 ebayで、12V 3A 36Wのスイッチング電源が、送料込みで、何と400円で入手出来ました。これで、片チャンネル200円の電源を用意できましたので、先に進めます。

以下が、送料込で400円のスイッチング電源です。ラーメン一杯食べられません。
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EMI対策
 スピーカーの出力にEMIフィルターを設けてOscillator frequency: 300kHzの減衰を試みる必要があります。これは、セカンド・オーダー程度のフィルターで定数は、カット&トライで決める予定です。