三台目の無帰還アンプ作製 その2

三台目の無帰還アンプ作製中間報告

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 三台目の無帰還アンプを昨年12月に着手して、ようやく形になりました。
 このアンプは、無帰還アンプでありながら、歪率(THD):0.004%、ダンピングファクター:196(6Ω)、周波数特性:170kHz(-3dB)と驚異的な性能です。このアンプの設計は、手作りアンプの会メンバーK氏、I氏、O氏のコラボレーションで、PCBのアートワークは、I氏が行ったものです。
 受動部品と半導体の基板への取付が完了して、この先はケーシングとパワートランジスタの取付け、そして調整です。

作製した感想
 このアンプはディスクリート部品で構成されてながら、凄く細かいです。
 半導体の数が異常に多く(メガ盛り)で、部品を基板に取付ける付ける順番を誤ると、途中で作製不能となります。電子回路立体テトリス状態です。
 基本は、背の低い部品から高い部品、小さな部品から大きく重い部品の順序で取付けます。部品の取り付け間違えは、後で修正が不可能な一発勝負です。
 しかしPCBの出来が良く、部品の番号が左上から右下に順番に並んでいます。そして、部品の大きさと寸分違わずホール位置が合っていて、ストレスが溜まりません。当然と言えば当然なのですが・・・・
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 この状態は、IBMの汎用機システム360の創世記に作られた初期の集積回路技術であるSLT(Solid Logic Technology)よりこのアンプの方が集積度は高いと思えます。
 IBM Solid Logic Technologyの資料はここ 
 このSLTに用いたセラミック・ベースが京都セラミックの威信にかけて当時、稲盛会長の指揮の下に開発したもので、現在の京セラのルーツと言える品です。
 トランジスタの数が多くて、その下に有る、抵抗、ダイオードが見えません。

回路図
 回路図の開示は、設計者の了解を頂いてから、別途行います。
 既に、トランジスター技術の書籍案内資料で開示されているオリジナルの回路図の掲載が有りますが、このアンプの回路はその発展型です。
 書籍案内資料

今後の予定
 部品の取り付けが正しいか、充分注意してから、組み立て調整を行いますが、エリミネータの電圧を17Vとして安定稼動を目指します。そして、3wayの中域に投入する予定です。
 実装に誤りがあると、一発でトランジスタが飛ぶので、クリティカル・パスを確認しながら、進めたいと思います。

今年最初の薔薇が咲きました

気持ちのいい日が続いています。
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© 2016 grigri

 薔薇が咲くと「五月の薔薇」という歌を思い出します。
 フレンチレース(French Lace)という名前で、フロリバンダ系(Floribunda)です。産地は米国で、作者は William A. Warrinerという方です。

CDのリッピング

 写真のネガフィルムのデジタル化と、所有してる総てのCDのリッピングを目指してきて、本日、総てが終わりました。
 フィルムは、6コマ毎のストリップ・スリーブなので、セティングの手間が掛かり結構大変でした。CDのリッピングは、Exact Audio Copy(EAC)という定番のフリーソフトを使って、バッチ処理でWAVからFLACの変換まで自動処理としました。又、タグの取得とアルバム・アートは、MP3TAGというソフトを用い、手動で確認しながら保管しました。
 CDの枚数が2,000枚程有ったので、5枚/一日を目標として、一年半程費やしました。天候の悪い休日は50枚程まとめてリッピングしたので、思いの他早く終えることができました。
 取り込み先はNASで、バックアップは、差分をコピーするフリーウェアーです。当初、ミラー化(RAID1:Redundant Arrays of Inexpensive Disks)を考えましたが、リアルタイム性が無い事と、NASに障害が生じた時の処置が簡単な方法を選択して、新たな音源が増えた時点でのデッドコピーとしました。

CD棚
 上の写真は、リッピングを終えたCDで、正面が私のCDで、左右が子供と妻のものです。
 デジタル化を終えた写真のネガフィルムは、ダンボール箱に詰めて納戸の肥しとして、CDは家族と協議したところ、アマゾンで売却して、家族旅行費用の足しにするのが良いとの結論に至りましたが、誰がその面倒な手続きを行うかで話が頓挫しました。
 LPは、音が良い上にジャケットを見て楽しいのですが、LPと針のハンドリングが面倒で、この数年間に聴いた枚数は、10枚以下です。これも何時か処分する予定です。

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 最近、良く聴くソースは、リッピングしたCDでもダウンロードサイトから購入したハイレソでもなく、ラズパイで聴くWebRadioです。
 この様な環境が以前から有ったら、CDを鬼の様に集める愚かなことはしなかったと思います。特に、クラシックはVenice Classic Radio Italia、ジャズはJazz Groveで充分満足できます。そして、音質は、適度に良くて、重要なのは新たな音楽に遇えて、好みの音楽ジャンルが拡大する事です。

 以下の様に、レシーバーと音の良い小型のスピーカーが有れば、他に何も要らないです。
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 今朝は、WebRadioでJohann Joachim Quantzのフルートを聴きながら新聞を読んでいたら、窓の外から雲雀の囀りが聞えてきましたので、音量を下げました。

気分転換

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 気分転換で、現在使用中のScan-Speak Revelator D2908/7140000 ベリリウム ハードドーム トゥイータの代わりにScan-Speak Illuminator R3004/6620-00 ソフトドーム トゥイータで馴らしてみました。
 指向性が一寸強くてサービス・エリアが若干狭くなりますが、高域が滑らかで、まさしくハイファイの音と言った感じです。
 上品で、艶のある素晴らしい音で見直しました。
 このスピーカーは、定番で傑作品ですね。
 長い間お休みしていましたが、リラックスモードの時に楽しんでみます。

大正時代のレコード

SPレコードを納戸から出して、手回し式のプレーヤーで再生してみました。
 このレコードは、祖父與八郎が米国の建国150年記念の博覧会に訪れた時のお土産で20枚程あります。製造は1920年頃ですから、大正末期に制作さた物です。ラベルには、Victor Talking Machine CO.Camden N.J.と印刷され、電気による増幅の録音を示すVE( Victor electrical recording)のマークが無い古いものです。
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スキャナーの読み取りピクセルが不適切なためにモアレが生じています。

 米国の建国150年記念の博覧会は、戦前の1926年6月にフィラデルフィアで催されて、博覧会には日本館として、祖父の経営する工務店が、極めて短期間に五重塔を建設したと記録があります。併設された日本館(パビリオン)には、ミキモト真珠島の御木本幸吉さんが、イルミネーションとして使われる電球の代わりに真珠をつけた小型の五重塔を出品して、後、戦前の外貨獲得に大変貢献したとの事です。

 当時の情報は、以下に
ミキモト真珠島 館長のページ 44.「自由の鐘」は70歳

 その時のお土産として持ち帰った物がこのレコードで、録音されている曲は、当時極めて珍しいフォックストロット(Fox Trot)で、本邦初めての再生で、早稲田大学の大隅講堂で学生の前で再生したとの事です。レコードの中には、ハロルド・クレイトン・ロイド・シニア(Harold Clayton Lloyd, Sr., 1893年4月20日 - 1971年3月8日)の肉声の物もあります。

米国の建国150年記念の博覧会の入場券
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 写真の左にあるピンバッチが、入場券を兼ねたノベルティーです。 
 下にぶら下がっている鐘は、アメリカの象徴「自由の鐘」 (フィラデルフィアの割れ鐘)で、バッジには52nd Imperial - COUNCIL SESSION PHILADELPHIA.PA. - JUNE 1926と記されています。
 右下の記念章(勲章)は、五重塔建設を労われて国から頂いた物の様です。

肝心な音
 現在のオーディオと比較する事自体全くの無意味です。
 盛大なスクラッチのノイズに消されて聴けないと覚悟していましたが、あに図らんや、とても聴き易く美しい音です。
 当時としては、最高の録音・再生技術であったと思われます。当然の事ながら一発取りで、演奏者のパッションが感じられる素晴らしい演奏です。当時のレコードの録音は,Western Electric社の電気式によるカティングではなく、テパー状の筒の中に音を送り込むアコースティック録音方法でカティングしていましたので、録音の音圧が極めて低く、スクラッチノイズの影に隠れて、良く聞こえません。当時、米国と日本では、技術面では大分差が有りましたが、どちらも、それなりに素晴らしい演奏とえいます。大切な事は、音の良し悪しより、録音と演奏の良し悪しですね。
 

Soekris dam1021 のビルドその4

マルチビットDACの試聴会を行いました
 マルチビットは、Takeさん所有のMSB製、ケンさんが抵抗の選別から作製されたマルチビットとSoren Kristensen設計のdam1021(旧モデル)と今回動作した、dam1021(新)です。トランスポータとは、i2sで接続して比較しました。
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上から順番に、dam1021(新)、電源、dam1021(旧)、完全ディスクリートDAC、ここから見えないMSB
 MSBのH.P.はここ

肝心な音質
 マルチビットDACに共通する点は、極めて自然な音で、低音の分解能が高く、アタック感に優れている点です。
 どのマルチビットも電源が強化されて、ノイズ対策が程度の差があれ正しく行われているので、メーカー製(MSB)に肉薄する音質です。強いて言えば、dam1021(新)の電源対策に未だ改良の余地有りと言った所です。
 特に今回は、dam1021(新)のR-2Rのダイレクト(RAW)を電流駆動プリアンプ(I/Vアンプ)で聞いたところ、自画自賛で決まり悪いのですが、こんなに廉価なDACで良い音が許されて良いのだろうか?と言った感じです。今回聴いた、マルチビットのDACは、どれも高いレベルでの競演です。マルチビットの音に馴れしまうと、シングルビットには戻れなくなります。
 
電圧駆動VS電流駆動アンプ
 電流駆動アンプは、以下の長所があるとのことです。
 ・電流がより正確に増幅できる
 ・高周波まで増幅できる
 ・出力雑音が小さい
 ・直流ドリフトが少ない

マルチビットDACの特徴
 マルチビットとシングルビットの音を聴き比べる機会が皆無に等しいため、その差を知っている人は少ないと言えます。
 最大の特徴は、マルチビットDACとシングルビットDACの音を冷静に比較すると、現時点では、キッパリ言って、マルチビットの音の方が圧倒的に優れていると思います。シングルビットDACの音は作られすぎて不自然で、恐らくコンシュマーモデルとしてESS社のES9018体系の音がデファクト・スタンダード化している事が災いしていると思います。
・カレントセグメントでの量子化ステップのアナログ出力レベルを電流値としてダイレクトにRAW出力する。
 電流出力なので電流アンプで受けると理想的な伝送が可能となる。
・ノイズは受動部品の熱雑音レベルで、シングルビットの様にΔΣのノイズで高域が汚れない。
・ワンビットでのLPF処理は、PDMあるいはPWM変調された信号をSCF(Switched Capacitor Filter)で、アナログ信号に変換することによりキャパシタに電荷をチャージし伝送する。Charge pumpで電荷が蓄積されるまで時間の遅れが生ずる。
・部品の点数が多く製造工程が大掛かりとなる。
・精度の高い部品を揃える必要が有り、又、その精度が歪率特性に直結する。
・上記理由により、製造コストが高くなる。
 
今後の対策
 電源のノイズ対策と低インピーダンス化が未だ不足している様に思えます。ケーシングについては、アルミ合金で作りたい所ですが、電源のシールドを意識したモジュール化を行い、その後に設計を行う予定です。
 外部機器とのコネクティビティーについては、USB接続をISO7640FMでアイソレートを行った上で、設けたいと思います。

USBのDDC
 32bit I2S DSD出力オーディオDDボードとして、Amanero Combo384のオリジナルとするか、電源強化されて廉価なパチモンとするか思案中です。

Soekris dam1021 のビルドその3

Soekris dam1021の動作確認
 マルチビットDACの試運転も佳境に入り機器、音質とも安定期に入りました。
 HDMI(LVDS)によるi2sのフックアップも終えて、連続運転を行ってもトラブルは皆無で正しく評価出来るフェーズに入ることができました。
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 ラダー抵抗の集合分部に簡単な防塵用のカバーを設けました。

仕様概要
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 音質面で明確なった点は、R-2Rからのダイレクト・シングルエンド(RAWデータ)より、バッファーアウトされたシングルエンドの方が、インピーダンスが低く、低域の音が美しく感じます。ダイレクト(RAW)の電流出力は、何らかのバッファー(I/V変換)を付加して、音の変化を楽しむか、電流入力のフロントエンドを持つアンプに接続するなどのバリエーションが、楽しめる仕様です。
 出力ゲイン調整用のポテンショメータをつける事によりデジタル・ボリュームが作動しますが、今回は、操作性と音質を優先して、デジタル分部での情報落ちを避ける為にボリューム無しの方法をとり、0dB/2Vrmsの出力となっています。しかし、このボリューム無しの方法は、一寸ゲインが高く、ハイゲインの時に音の歪を感じますので、今後の課題として、先の楽しみに取って置きます。
 今回採用したTI製のTPS7A4700安定化電源で、唯一気に入らない点として、出力のインピーダンスが高いことです。それを補うべく、880μのタンタルコンデンサーを追加しました。これにより低域の分解能が向上しました。
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マルチビットDACとシングルビットDACについ
 DACには、古くは積分型とかがありましたが、現在はシングルビット型とマルチビット型に区分されます。シングルビット型は、普及機から高級機まで幅広く採用されており、それを並列に繋いだり、クロックを高確度にして、何とか商品の差別化を図っています。それに対してマルチビット型は、超高級機か、自作しか存在せず、極めてニッチな世界と言えます。
 シングルビット型、マルチビット型の動作原理については、それ専用のコンテンツを参照した方が、正確ですので触れない事とします。

音の特徴
 可聴帯域内の特性にはそれほど大きな差はありませんが、シングルビットDACではマルチビットDACに比べてデコードの方式から帯域外ノイズが非常に多くその為に強力なローパスフィルターが必須あり、そのフィルターの出来不出来により音質が大きく異なります。
 強力なローパスフィルターにより損なれた可聴外広域を意識的に補い、エコー感が不自然に感ずるのが、シングルビット方式の特徴と言えると思います。

メリット・デメリット
 マルチビットは、変換の直線性を保つのが難しく誤差を生じやすいと言えます。そのうえラダー型の抵抗の精度でリニアリティーが決定されてしまうため、大量の抵抗からマルチビットDACの商品グレードに相応しい抵抗を選別する力作業があります。
 同様にDAC-ICを量産するという意味では、抵抗の精度を得る為に、抵抗をレーザーによりトリミングの調整を要します。生産コスト的に難しい部分があり、その為に製品が割高になってしまう傾向にあります。
 サンプリングで、処理サイクル毎にその瞬間の電圧や電流を表現可能で、時間的なズレが発生しないので、アタック音などが明確であり、トランジェントの良い音の表現が構造的に可能となります。音に力があり厚いと感じるのがマルチビットDACの特徴であり優位点といえます。
 対する方やシングルビット方式は、⊿Σ変調(ノイズ・シェーピング)により1と0からなるPWM(パルス幅変調)もしくは、PDM(パルス密度変調)に変換しているので静特性において誤差が少なく直線性が良いと言えます。量子化で発生する誤差の蓄積を次のサンプリングへと加算して、その積み重なった誤差が量子化器の敷居を超えた時に初めて出力へと現れるという原理から、どうしても遅延が発生する事は避けられません。やはりシングルビットDACは、エコー感、量子化の遅延から不自然な音に聞えるのは当然で、マルチビットは価格面のみにデメリットがあるものの、抵抗の精度が確保出来れば、理論的には理想的な訳です。一寸言い過ぎですが、シングルビットDACはマスプロ化の為の妥協の産物と言えなくも無いです。

今後の予定
 出力ゲイン調整用のポテンショメータは、Cカーブ又はBカーブを要求しており、設計ミスの様に思えます。又、音質も好ましくありません、ファームウェアーの更新で解決する事を期待します。基本的に不要と思われます。
 近日中に、DACの音を正しく評価出来る環境にて、一世代古いSoekris dam1021、MSB、ES9018S、ES9018K2M、AK4399、上野式ラダー型のヒアリングテストを行う予定です。
 ところで、このDACの名称が "Soekri" とありますが、設計者のデンマーク人 Soren Kristensen からきているのですね。