2Wayの完成度を高める

 無帰還アンプ作製は、一セット未完成のまま年を越しそうです。
 久し振りにメイン・システムの調整を行いました。
 今回の調整の趣旨は、2Wayとして完成度を高めて、3Wayに遜色無く、時には3Wayを凌駕する2Wayを目標とします。
 あまり大げさなオーディオシステムは、好みでは無く、小癪な程に粋で、趣味の良いオーディオが好きです。しかし、目標は未だ達成していません。
 そこで、今回の調整は、主張が強すぎる3WayミッドのATC SM75に長期休暇を与えて、近代的なウーファーとトゥーイータの2Wayで最適化を行いました。

1.スピーカー素の特性
  白:周波数特性 緑:群遅延特性
org.jpg
 軸上0.7mでの周波数特性と群遅延特性です。
 クロスオーバーは2,000Hzで、遮蔽スロープは96dB/OCT.バターワース(Butterworth)です。

2.スピーカー単体の補正
  白:周波数特性 緑:群遅延特性
spC.jpg
 先ずは軸上0.7mでの周波数特性のフラットネス化と群遅延補正を行いました。部屋の什器配置が非対称の為に左右別々に最適化をしています。そこそこフラットな特性で良いと思います。測定マイクの性能が悪いので20kHzを上限として表示されていますが、40kHzまで出ている筈です。

3.リスニング・エリアでの測定
  白:周波数特性 緑:群遅延特性
Lisposi.jpg
 スピーカーから5m程離れた場所がリスニング・エリアです。
 ここでは、部屋の特性、家具等の反射で結構凹凸があります。

4.リスニング・エリアでの最適化
  白:周波数特性 緑:群遅延特性
LPC.jpg
 リスニング・エリアでもかなりフラットな特性が得られました。
 リスニング・ポイントで尖がった最適化を行うと、それ以外のエリアでの音がトレード・オフで悪くなります。
 常にリスニング・ポイントで、頭を固定して額に皺を寄せて聴くか、部屋で寛ぎながら適当なエリアで聴くかにより、何処まで最適化するかの選択が必要です。

肝心な音
 普段リラックスして音楽を楽しむには、「2.スピーカー単体の補正」で十分かと思います。確かに「4.リスニング・エリアでの最適化」を行うと、一寸聴いた感じでは良く聞えますが、限りなくヘッドフォンの音に近づき、リラックスして聞くことが出来ません。情緒不安定になり、はっきり言って心臓に良くありません。
 それから、一点気が付きましたが、特性の良い(素直)なスピーカーは最適化が至って簡単であり要する時間が短くて済む事です。
 2Wayとしての音は想定以上に静かです。ATC SM75をスコーカーとした3Wayより静かで上品な音です。反面、押出しが無く少々物足りなさを感じます。ATC SM75の初出荷が1976年とすると、最新のベリリウムトゥーイータ、ウーファーと約40年近くの開きがある為、音の一貫性からすると、2Way(除くATC SM75)の方が自然な組み合わせかも知れません。

今後の課題
 製作途上の最新技術を生かした回路設計の無帰還アンプを完成させて高域に投入します。 又、クロスオーバーと遮蔽特性をアレンジして更に高みを目指したいと思います。
 クロスオーバー数が少なく低歪で洒落た2Wayソリューションを目標とします。
 

メモリープレーヤーを購入して悲しくなった話

 今までメモリープレーヤーは、性悪説のATRACに力を注いだS社を止めて、MP3/AACのiPODを愛用していました。無帰還アンプを少しでも良い音で再生出来ないかと、ささやかな思いで、久し振りにS社のハイレゾ対応メモリープレーヤーを購入しました。そのプレーヤーは、JAS(日本オーディオ協会)が定義するところの「ハイレゾ:Hi-res」の音源を録音/再生が売りのメモリープレーヤーです。

XDSC00577.jpg

 メモリープレーヤーからの音声出力は、レガシー・オーディオに向かないヘッドホン出力(ミニプラグ出力)とWM-PORT接続によるデジタル出力があります。
 WM-PORTには、アナログの出力のピンアサインが有るのですが、そこからアナログ出力する純正のケーブルをS社は製品化していません。これはS社のメモリープレーヤーとアンプと繋ぐ場合はS社のデジタルアンプとしか接続できない意図的な商品体系になっている様です。
 ミニプラグからのLine録音は可能ですが、ミニプラグへのLine出力は、やって欲しくない商品体系の様ですね。

WM-PORTからアナログ出力するミニプラグケーブル
XDSC00579.jpg

WM-PORT ピンアサイン
台形(D型コネクター)で、端子が横一列に並んでいる。端子には長いものと短いものがある。
01: L: GND
02: S:
03: S: USB data +
04: S: USB data −
05: L: USB GND
06: L:
07: L: USB 5V input / 90mA slow charge
08: S: serial input (RxD) / WAKE
09: S: function-check [←Rx→01,22pin(GND)]
10: S: serial output (TxD) / SLEEP
11: S: USB-connect (07pin(+5V)) / slow charge only (open)
12: L: 4V-output
13: S: audio-left-input
14: S: audio-left-output
15: L: audio-GND
16: S: audio-right-input
17: S: audio-right-output
18: L: VIDEO-GND/GND
19: S: VIDEO_IN/OUT/OPEN
20: S: 5V-input; fast charge
21: S: DIGITAL_OUT/OPEN
22: L: GND

9番ピンの抵抗
 録音用ケーブルは9番ピンから抵抗Rx=220kΩを介して1番&22番ピン(GND)に接続されている。
 この抵抗値を判断し、ポートの種類を判別している。
 
 そこで、上記のピン番号14: audio-left-output、17:audio-right-outputからLine信号を取り出して、無帰還アンプに繋ぐRCAケーブルの入手を考えました。WM-PORTのコネクタ部分は350円で廉価に購入可能なので、自作も考えましたがWM-PORTアナログ出力(ミニプラグ)ケーブルの完成品が上代980円で入手できましました。

使用感
 早速、はやる気持ちを抑えてメモリープレーヤーにWM-PORTアナログ出力ケーブルを接続して再生してみました。
 しかし何か凄く変です、音は出るのですが、音が小さいです。
 ヘッドホンアンプをバイパスして出力するので、多少音が小さくなる事は覚悟していましたが、ここまで小さいとは思いませんでした。

肝心な音
 ヘッドホン出力より遥かに良い音を期待したのですが、アナログ出力には、何らかのフィルターが掛かっていて、つまらない音です。ヘッドホン出力の場合は、自社製ヘッドフォンに特化したイコライザーで脚色している様に思えます。又、S社以外のヘッドフォンで聴くとLine出力と同様に音が冴えません。
 一般的にヘッドフォンのグラウンドはケーブルの途中で抵抗で適度にマージして、左右に音が分かれ過ぎない様に工夫されています。この抵抗値とヘッドフォンアンプの特性がオプティマイズされているので、当然の事ながら純正のヘッドフォンがメーカーの思うところの「最適」である事が想像できます。

Line出力
 1kHz(0dBv)の信号のデータ再生して、オシロで電圧を見たところ、Line出力のレベルが100mVp-pしかありません。
 とても悲しいです、作製した無帰還アンプは、0dBvで30W/CH.のフル出力が得られる様に作られています。
 今更安定稼動している無帰還アンプをメモリープレーヤーに合わせて増幅率をアップする改造を行う愚かなことはしたくないです。
 しかし、Line出力の周波数特性が変なので、これから、192kHz/24bitの環境で20Hzから96kHzの正弦波と矩形波を再生してハイレゾ対応のメモリープレーヤーがまともな特性であるかを調べてみました。
 最近目にする「ハイレソ対応スピーカー」とか、「RCAケーブル」の様に「なんちゃってハイレソ」でない事を願うばかりです。

20kHzの正弦波
 先ずは20kHzの正弦波はどうでしょうか、一応可聴帯域の上限です。
20KSin.jpg
何か、カタガタで正弦波では無いようです。それに高周波のノイズが乗っかっています。

20kHzの矩形波は・・・
20KSQ.jpg
 矩形波は・・・ハイレゾの20kHzですが、これで良いのでしょうか?
 これ以上調べても無駄ですね。
 
ハイレゾとは?
 JAS(日本オーディオ協会)では、「アンプ高域再生性能: 40kHz以上が可能であること」を条件としていますが、 40kHzの正弦波を再生すると、オシロの時間軸の同期が掛からない程に乱れています、これでも一応再生出来ているので、ハイレゾ機器なのですね。
 潔く諦めて、CDを用意する事とします。

無帰還(Non-NFB)アンプ作製 プロジェクト その16

終わった筈の無帰還アンププロジェクト

お寺大会出品の準備
 前回で最終回でしたが、SNRの悪さが気になって、手作りアンプの会の重鎮ケンさんに無帰還アンプのクリニックをして頂きました。
 グラウンドの取り方は一つの学問になる程難しく、これと言ったセオリーは無いようです。

トランスの磁気シールド強化
 当初残留ノイズが、6mVと高く実用に供する状態では無く、又、ノイズの音がバズ音で、耳障りな音です。この状態でお寺大会に持ち込んだ場合、お寺のスピーカーが100dBを超える高能率なJBLホーンスピーカーの為ノイズが盛大に聞える事が想定できます。
 そこで、小手先ですが磁気ノイズからのシールドを強化しました。

hamu.jpg

トランスと基板の磁気リンケージ削減
 パワー段のトロイダル・トランスを銅箔で包んでフレーム・グラウンドをとりました。又、ドライバー段のカットコアーのトランスは、銅板でケースを作製して、パワー段と同様にグラウンドをとりました。更にトランスとエリミネーターからのリンケージ・フラックスを避ける為に、銅板で仕切りを設けました。

得られた結果
 これにより、得られた結果は、残留ノイズが、チャネル1(基板下):0.8mV、チャネル2(基板上):1.8mVになり改善されました。これによりノイズの音が、バズ音からハム音(高調波)に変化しました。0.8mVという数値は全く褒められた値では無いのですが、与えられた環境と実力から言って相応かと思います。
 音楽を聴いた感じでは、スッキリ感が増した様な気がします。

その他
 調整の為に開腹したついでに抵抗(R13/6.8K)をIRCの金属フィルム抵抗から、Vishayの無誘導金属箔抵抗(VSR)に交換しました。
 音は高音よりにエネルギー感が移った感じがしますが、相変わらず音は艶と音場感無くつまらないです。
 電源が左右共通のためクロストークが悪く立体感が出ないようです。
 今回のアンプ作製で得た教訓として、電源はモノ・コンストラクションとして、絶対に左右共有としない事です。
 そう言えば、世界の名だたるアンプの殆どがモノ電源で、左右共通は価格、重量との妥協の産物で有るかを身を持って体験する事ができました。

抵抗による音の違い
 コンデンサー程では無いですが、抵抗の品質で音が異なります。
DSC00584.jpg
1.タクマン電子社の金属皮膜抵抗で特徴が無く、眠い音で、
  全体的にマスクされた様な音です。
2.一見炭素のモールドに見えますが、今は無きTRW社製の
  金属フィルム抵抗(MIL-R-22684準拠)で、特徴が無く普通ですが、
  細かい音は良く聞えます。
3.良く見かけるドイツVISHAY-DALE社 RN-60で、音は温暖な感じですが、
  眠い音では無いです。
4.紅い抵抗がIRC(International Resistor Corporation)製で、
  クリアリーな音ですが、VISHAY VSRの様に鮮烈では無いです。
  外観は米国PRP社の抵抗と酷似しています。

私としての結論
 高いSNRは、ミリワット時の静寂感と立体感に影響して、左右別電源はクロストークの良化にともない音場感、音像感に影響します。
 1ミリワット出力時のSNRが音像感、立体感に深く影響する等、ローレベル信号の解像度が最重要である事は解るのですが、なかなか実現できません。