お寺大会の半導体無帰還アンプ

無帰還アンプ製作に着手しました。

 世田谷区妙法寺で年二回六月、12月に手作りアンプの大会が催されます。
 毎回テーマを決めて、各自作品を持ち寄り発表を行います。
 2015年冬の大会の課題は、「半導体無帰還アンプ」です。

お寺大会の基本ルール
 帰還を完全に無しにて、アンプを作成することは、事実上不可能と思われます。課題の無帰還とは、ファイナルから入力段に戻すオールオーバー帰還(NFB)が無い回路を言います。
 
ルール詳細
 ・可聴帯域でオールオーバー帰還の無い半導体アンプです。
 ・局部帰還、DCサーボなどの直流帰還は可です。
 ・電圧増幅段では、二段以上に跨る負帰還は不可とします。
 ・カレントミラーは、帰還型も可とします。
 ・出力段のインバーテッドダーリントンは可とします。

 今回は可能な限りプリミティブで、小規模としました。

この負帰還だけは除けない
 トランジスタに電流が流れると、殆どが熱エネルギーに変換されます。その際、温度上昇と共にベース・エミッタ間電圧(Vb)が減少します。また、hfe(直流電流増幅率)もわずかながら上昇します。そこでエミッタを直接接地したままですと、ベースをドライブする電圧に変化がなければ、温度上昇→ベース電圧降下→ベース電流増加→コレクタ-エミッタ間電流増加→更に温度上昇の正帰還で最終的にはトランジスタの破壊に繋がります。

 この破壊に繋がる正帰還からの保護対策として、バラスト抵抗(ballast resistance)を設けることによりトランジスタのエミッタ側のRE(エミッタ抵抗)によりコレクタ電流の安定化が可能です。
 バラスト抵抗は、温度上昇時(エミッタ電流増加時)にエミッタ電圧を上げ、等価的にベース電圧も上がることにより安定動作をします。これも一つの負帰還(局部帰還)と言えます。

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Fostex製メモリーレコーダUR-2

 Fostex製のステレオ ラック メモリーレコーダUR-2を入手しました。 
 外観は、業務用のラックマウントタイプです。入出力はアンバランスのRCAと、キャノン(平衡)、デジタルはAES/EBUで業務用のインターフェースです。
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なんか変です
 町田のオフ会に持ち込み、音を聴いてみましたが、何か変です。全く低音が出ないで、スカスカな音です。例えて言えば、平衡から不平衡に変換する時、リターン(コールド)をシールドに落とし忘れた様な音です。

なんちゃってバランス
 後で解った事ですが、何と、推奨平衡出力インピーダンスが、10kオーム以上との事です。今回接続した、パワーアンプの入力インピーダンスは、平衡接続を前提に600オームで設計しており、過負荷の状態になっていました。この状態は、俗に言われる「なんちゃってバランス」によるインピーダンス・ミスマッチですね。

業務機の顔をした民生機
 これは、「業務機の皮をまとった民生機」です。
 このレコーダーより遥かに、廉価なチャンネルデバイダーのDCX2496でさえ、出力インピーダンスは160オームです。

プログラムの異常終了
 町田のオフ会を終えて、帰宅後にてCDをリッピングしたWAVファイルを再生してみましたが、何か変です。
 プログラムが異常終了して、ACコンセントを抜いて電源の再投入を行わないと、リセットされない状況が頻発します。

止まった有機ELディスプレー
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電源の構造
 AC100Vをスイッチング電源でDC15Vとして、本体に供給後、その15Vを基に更にDCDCコンバータでアナログ用とデジタル用に電源を作り出しています。
 内部の構造は、スイッチング電源をケースで囲む等、ノイズに対して、特に遮蔽が行われている様子も無く、かなりラフな設計です。オシロスコープで見ると、アナログ信号にかなりのスイッチングノイズが重畳しています。
 フォステクスのフルレンジで聴くと高音が出てよいかも・・・
 でも何で? ん~Fostexですから

3Wayから2Wayにチャレンジ その8(アンプの構成変更)

 ダブルウーファーを一台のアンプでドライブしていましたが、それを改め、ドライバー毎にアンプを分けてみました。

 icePowerのダンピングファクターが1,000以上という事と、又パッシブ・ネットワーク、アッテネータが無いので、問題無いと思っていました。
 しかし、低域がダブ付く事と、低域の解像度が低いと思う事が多々有り、気になっていました。そこで、ウーファーのユニット毎にicePower(PWMアンプ)を使い、中域、高域は予備機のクラウンD-45を投入しました。

以下の現行構成(ウーファーを並列接続
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新構成は、ウーファーの並列接続を改め、ドライバー毎にアンプを分離しました。
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 以下の様にケーブル類を事前準備して、一気に行いました。
 分岐ボックスは、トモカ製、ケーブルはスイスのGotham Audio製、コネクターはリヒテンシュタインのNeutrik製です。
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 中域、高域に投入したクラウンD-45は、これが最終構成のアンプでは無く、手作りアンプの会プロジェクトで作製する無帰還アンプを投入する予定です。
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肝心な音
 低域のダブつきが無くなり、スッキリして締まった低音です、一寸聴いた感じでは、低音が出なくなった様に思えますが、低歪となり音圧を上げてもうるさく感じません。これで、全域に渡り高解像に一歩近づいた様です。
 2Wayも試聴してみましたが、特に問題は無く、結構繋がりが良いと思います。
 一寸、残念な事は、品位が落ちたことと、SNRが悪くなった様に思えます。

歪特性の変化
 上のグラフはウーファーを並列に接続した時の歪特性です、それに対して、下は、ドライバー毎にアンプを分けた場合です。
 音圧を全く同じにする事が出来ませんでしたが、後者の方が、低域の歪が低くなります、不思議な事に高域の2,000Hz付近も低くなっています。
赤:第二高調波歪、 紫:第三高調波歪、紺:第二から第五の合計
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ゲインの調整
 測定と試聴を繰り返して、逆に低域にクラウンD-45を投入して、中域・広域にicePowerを使った場合の試聴も行ってみたいと思います。又、クラウンD-45のポットが12時あたりでゲイン調整ができていますが、フル(減衰無し)となる様に、アッテネーター調整して、ポットのヌル化を行います。

 固定抵抗で構成された入出力600オーム・パイ型平衡の-20dBアッテネータです。
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F氏宅訪問

 手作りアンプの会のF氏宅にお邪魔しました。
 場所は成城学園駅から徒歩数分の木立に囲まれた閑静なマンションです。
 F氏は、オーディオの趣味暦が長く本格的なレコード(LP)のオーディオファイルでいらっしゃいます。

 オーディオシステムは、写真にあるように、トーレンスTD124にデンオンDL103とその専用アーム、又、ガラード301とデッカのアームとカートリッジで構成され、アナログ中心で聴かれています。
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 スピーカーは、ご自分で作られたノルウェー・セアス製のエクセルシリーズ3Wayをマルチアンプでドライブしています。又、アンプは日立のLoDをBTL接続を行い、クラウンのK2をウーファーに使っています。
 3Wayの帯域分割は、アナログ出力ステージのゲインを民生用の0dBuに改造したDCX2496です。

 レコード中心に聴かせていただいた音は、バランスの良い、とても聴き易いアナログならではの音です。そして、フォノイコライザーの特性曲線を、RIAA、NAB、AES、Columbia、ffrr,、RCA と、レコードの制作年代に合わせて、Turnoverの周波数と roll off(高域の低下値)の値を調整できる特注品が使われていました。

 再生する音以上にレコードのコレクションが素晴らしく、入手不能な貴重なレコードを沢山お持ちでした。又、レコードに関する知識が学芸員の様に詳しく、本来の音楽をを楽しむ本格的な音楽愛好家です。

 時間が経つのを忘れて、オーディオ機器とレコードの話をしを聴かせていただきました。

3Wayから2Wayにチャレンジ その7(寄り道)

 先日、オーディオの大先輩である、ケンさん、takeさん、ゴンザエモンさんが来訪されて、新3Wayを聴いていただきました。音としては、無難な評価をいただくことが出来ました。そして、ひとつの提案としてクロスオーバーの遮蔽特性で、急峻な-96dB/Oct.より、なだらかな-24dB/Oct.の方が、自然に聴き易いとのアドバイスをいただきました。
 当初、なだらかな-24dB/Oct.の方は、定位感が不明瞭に感じていましたが、勘違いの様でクラシックを聴くと優しく、3Wayの空間合成が上手くいき、ソノリティーが豊かになります。
 そこで、今回は、基本に立ち戻りドライバーの裸特性から、クロスオーバーとして最適な値を求める事としました。
 ※裸特性:フィルターを極力排除して、ドライバーを損傷しない周波数範囲のサインスウィープで、ドライバーの持つ特性を知ります。
    
ドライバーの裸特性
 先ずは、ドライバーの裸特性を測定しました。
 測定は、スムージング無しで、1mの測定結果です。
 黒:Low 赤:Mid 青:High
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  最終的には、紫色の線と近似になるのが良いのですが、ATC SM75-150の1,000Hz前後の音圧を4dB程下げる必要がある様です。又、ScanSpeak D2908の5,000Hz付近も同様に調整を要します。

クロスオーバーの再検討
 カナダ、ケベック州のFrançois Bourdon,英国、ヨークのTony Fisherの両氏が作製した、foobar2000用コンポーネンツ(プラグイン)の PCチャンネルデバイダー foo_dsp_xover を用いました。

 ❑ François Bourdon氏のWebsサイト:ここ
 ❑ Tony Fisher氏のWebsサイト:ここ
   対話形式でIIR、FIRデジタル・フィルターの設計が出来ます。

 このデジチャンは4Wayまでの仕様で、機能面で未完成の部分がありますが、特別凝った事を行わない限り実用上問題無いと思います。
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foo_dsp_xoverの仕様
・分割チャネル数:ステレオ4チャンネル
・フィルター特性
 アルゴリズム:バターワース、ベッセル、チェビシェフ
 タイプ:ローパス、ハイパス、バンドパス、バンドストップ
 次数:1 (-6dB/Oct. )~ 8 (-48dB/Oct.)
 周波数: 1~22,050 Hz
・チャネル毎の指定項目
 フィルターレスポンス
 再生時のスペクトラム
 ゲイン調整
 出力オン/オフ
 遅延指定: 秒、ミリ秒、メーター、ミリ、インチ、1/100 インチ
 位相:順/逆(正/負)

クロスオーバーの設定値
 1.クロスオーバー周波数
   Low/Mid : 400Hz  Mid/High: 3,080Hz
 2.次数 3次(18dB/Oct.)
 3.アルゴリズム : バターワース

測定結果
 -96dB/Oct.と測定上は大差有りませんが、音場感は大分異なります。
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 タイムアライメントは、全く問題なしです。
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今後の課題
 この状態で試聴を繰り返して、設定を確認しますが、唯一気になる点は、このfoo_dsp_xoverというソフトの周波数特性の上限が、22,050 Hzという事です。この部分は恐らく改善する事が無理なので、以下の様にMinnさんが作られたソフトの調整で、何とか解決を図るつもりです。又、作者のFrançois Bourdon氏に駄目もとで、変更を依頼する予定です。

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ATC SM75-150 のキャビネット作製 その2

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重い大きいATC SM75-150 ( Acoustic Transducer Co. Ltd. )
 ATC SM75-150用のキャビネットが完成しました。
 滝川クリステル風に、斜め左上から撮ると、美女に写ります。
 何しろドライバーの重さが7キログラムもあるので、ハンドリングが大変で、エアコンを強くしても汗だくです。又、既存のバッフル板に合わせて横幅200mmに合わせたので、至る所で制約があり、組み上げるのに苦心しました。
 
組み上げ
 木材は、チークを用い、釘は使っていません、タッピング螺子を使わず、総てボルトで組み上げました。
 又、ドライバーの取り付けは、背面から行い取り付けのボルトが見えません。
 背面の保守用の裏ふた。
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最悪のデザイン
 妖怪一つ目小僧の様で、デザインは最悪です、やはり一つのバッフル板に収めないと駄目です。
 バッフル板の横幅を200mm以下に抑えることが出来たので、良かったです。
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肝心な音は
 明日から最終チェックと、音出しを行う予定です。
 当分の間、木工とスピーカー作りは、満腹状態ですので、一寸お休みします。
 気分を変えて、暮れの無帰還アンプ作りに、allez, allez!

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ATC SM75-150 のキャビネット作製 その1

 最近、木材の原材料が大幅に上昇しただけではなく、準銘木のチーク、欅、ローズウッド等の入手が困難になってきました。
 合板や集成材ではなく、正物(無垢材)でスピーカーを作るのは、価格面だけでは無く入手も困難になりつつあります。
 今回は正物の入手に半月程掛かり、これから先は更に困難になる様です。
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仕上げ
 折角の正物チークなので、留め継ぎで作製して、塗装は行わず、オイル処理(蜜蝋)で行く事にしました。
 オイル処理は塗装の様な難しさとリスクが無い代わりに、高い断裁と接着の精度が要求されて、その工作精度はミクロン単位の誤差範囲内だと思います。
 塗装の場合は、誤差・隙間にパテを詰めて塗装で頑張れば総てオーライです。

接着材
 接着材は、何時ものTitebond Ⅲ(緑のパッケージ)で行いました。赤いパッケージのTitebondは、硬度が高く衝撃でガラスの様に接着面が割れ剥がれることがあるので、最近は粘りのあるTitebond Ⅲに変更しました。
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ハタガネ
 ハタガネを使わない主義で、荷造り用の紐と端材、箸を使って丁寧に締め上げます。留め継ぎ部分は、コーナーが良く出るように、ガイドの木材をコーナーの数だけ用意します。ハタガネのマイナス要素として各々力の加減が難しく、バランスが採れません。
 又、留め継ぎのクリートは、ハタガネでは滑ってとめられません。
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 締め上げは、箸を用いて、調整を行いますが、初めは一時間単位で調整して、翌日からは、半日単位でテンションを調整します。

工作精度
 留め継ぎの精度を出すテクニックとしては、木材を断裁すると乾燥が始まり誤差が出始めますので、可能な限り断裁直後で、誤差が少ない内に接着を行う事だと思っています。三時間ほど放置すると乾燥で誤差が生じて、留め継ぎが困難になります。
 合板や集成材の場合は、この限りではありませんので、余裕を持って留め継ぎができます。

 正物チークの加工は狂いが生ずるので難しいですが、上手く行った特は、とても美麗な自然木の仕上がりとなります。

 明日はバッフル板の接着とペーパー掛けを行う予定です。