タンノイの不思議なスピーカーで音出し その3(最終)

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 タンノイ製スピーカーのデッドニングを行っているのですが、なかなか良い結果が得られません。
 
現時点で問題点
1.バスケットが、0.8mmの軟鉄板の打ち抜きで簡単に共振する。
2.ICT機構のトゥーイータのfsが840Hzで、この共振を押さえる手段が無い。
3.バスケットの鳴きの押さえが、ABS樹脂キャビネットの強固で複雑な
  構造物で成り立っている。
4.剣道の面の様な前面のグリルと、パンチングメタルが840Hzのフィルターを
  兼ねている。

断念した理由
 バスケットの共振については、シリコンで何とか押さえることができましたが、トゥーイータの共振のデッドニングには、磁性流体の塗布を考えましたが、別物になる恐れがあるので、断念しました。
 普通2wayのトゥーイータはfsを避けてクロスオーバーを設定して、共振を避けて使います。しかし、このICTの場合それがメカで出来ていて、その周波数を避けることが出来ません。これを避ける為には、トゥーイータに有るバネのサスペンションの強度を調整して、Qを下げる方法しか思いつきません。
 以下の様に840Hzのノッチフィルター(赤の曲線)も試しましたが、音が大幅に変わるので、断念しました。
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今後について
 ICTという方法は、構造的な問題として、トゥーイータの共振(fs)を避けられない問題があります。早速、オリジナルのキャビネットに戻して、再度検討してみます。

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 スピーカーをオリジナルのABS樹脂キャビネットに戻したら、まるで卵の黄身が白身に囲まれて安堵した様な感じです。
 黄身に手を掛けなくて良かった~

 アンプをデノンから、古いNaim製のアンプに変えると、ソノリティがよくなります、これは不思議です・・・何故でしょう?

foobar2000の必殺技

 Room equalizerとして、AUDYSSEYのARC System2、S&KAudioのSSC-X R2等パソコンソフトで行う方法と、アナログディバイシス社のSHARCというDSPで実現しているDEQX、アキュフェーズのDG-58というシステムがあります。
 その総てが大同小異、基本的に同じ手法で、正弦波をスウィープして、それをマイクで測定して、部屋の音響とスピーカーの音圧を含めてクローズドループのフィルターを形成してフラットネス化を行う方法です。
 今回、紹介するMathAudio Room EQも同様のソフトで、SSC-X R2に一番近いソフトと言えます。又、このソフトは現時点では、フリーウェアです。
 操作性は単純明快で、今まで使用したソフトの中で操作性はベストと言える程良くてきています。

以下の画面は、部屋の音響を測定しているところです。
MathAudio.jpg
Lチャンネルにマイクを繋ぎ測定を行っています。 測定のゲインを緑のラインで表示しています。 L/Rチャンネルのバランスは自動補正が選択されています。

MathAudio Room EQの概要
 ・部屋の音響面での問題点を補正します。
 ・スピーカー単体の問題点を補正します。
 ・従前のFIRベースのルーム補正システムのプリエコー(プリリンギング)問題を
  回避できます。
 ・部屋の補正の有無をリアルタイムで、聞き比べることができます。
 ・部屋やホールの大きさに関係なく補正が可能です。
 ・周波数応答の振幅と位相の両方補正します。
 ・深いノッチの補正を避けることにより、過度な補正を回避して、周波数応答の
  共振ピークを押さえます。
 ・カスタムターゲットカーブの設定をマウスで指定する事が可能です。
 ・64ビットの信号に対応しています。
 ・廉価なUSB測定マイクで想定可能です。
    例えばデイトンオーディオUMM-6 EMM-6
 ・マイクキャリブレーションファイルの読み込みと補正をサポートしています。
 ・周波数応答補正は特許取得済みで、その方法を適用します。

MathAudio Room EQの詳細
 設定方法と使用方の詳細は、以下に詳しく説明があります。
 http://mathaudio.com/room-eq.htm

特に優れている点
 ・イコライズする場合、ピークを潰すが、ディップは補正しない。
 ・イコライズする高域の特性をBright(フラットで高域が伸びる)と
  Neutral(高域が下がる)の選択が可能
 ・補正カーブを自由に作る事が可能
 ・L/Rのバランスを自動で整えられる。

惜しい点
 ・補正の周波数帯域の指定が出来ない。
 ・Linuxベースで動作しない。

Room equalizerを弱めに補正を行った場合
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Room equalizerを強めに補正を行った場合(フラットの部分が弱めに比べて多ですね)
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Neutralを選択した場合、高域が下がります(マウスで修正可能)
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特定の帯域の補正を外す方法(2,500Hz以上を補正から外す例です)
 以下の様にマウスで緑色の曲線を変更すると、L/Rの補正曲線が変化します。
 マウスでの変更をリセットする場合は、Referenceのボタン(Bright,Neutral何れ)をクリックします。
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 Minnさん作成のチャンネルデバイダーソフトと、このルーム補正ソフトを使うと素晴らしいPCオーディオを構築することが出来ます。
 かつてない程の処理能力を手にしたPCだからこそ可能なPCオーディオの世界。カスタムIC、FPGAを用いたハードウェア製品が足元にも及ばない、64ビットプロセッシングによるfoobar2000とDSPを生かさない手は無いですね。

スピーカーのインピーダンス測定とその考察

 久々にウーファーをキャビネットに入れた状態でインピーダンスを測ってみました。スピーカーを作成するとき、周波数毎の音圧が最も気になりますが、それと併せて、インピーダンスの特性が重要です。特にキャビネットに入れた状態での特性を把握したうえで、ネットワークを設計すると、より正確なクロスオーバーネットワークを作る事が可能となります。
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共振点
 共振点が、31Hzと200Hzの二個所あり、これにより、周波数特性として、30Hzから-3dB以内収まっています。

インピダンス
 インピダンスの上昇カーブが、カタログ値で最低値と1,000Hzの差が5Ωですが、実測の差では、2Ω以内に収まっておりカタログ値より良化しています。これにより、Zobel Circuit等によるインピーダンス・スタビライザーが不要です。

並列接続
 スピーカーを並列に接続することにより、インピーダンスの特性が穏やかな方向に補正されていることが解ります。

MTM
 メインのスピーカーの構成は何を隠そう、Joseph D'Appolitoが提唱したMTM (Midwoofer-Tweeter-Midwoofer)方式として、ウーファーを並列に接続しています。別の周波数帯域を受持たせる2.5Wayではなく、全くの同一周波数です。一般的にウーファーを並列にすると相互干渉により歪みが増えて良く無いと言われますが、大勢と同じ事をするのが嫌いな性格なので、敢えてMTMのスピーカーを作った経緯があります。

 確かに、上下二つのウーファーの距離に応じた周波数域において聴感上では全く問題の無い、微細なディップが生じます。それは、ウーファーの中心軸間の距離が29cmですので、1/2ウエーブメソッド=591.4Hz、1/4ウエーブメソッド=295.7Hzでディップが生ずる事になります。

 軸上0.7m   青:dBSPL/f   緑:位相/f
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アコースティック・ロビング(Acoustic lobing)の相違
TM(従前の方法)
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JBL4311、dynaudio confidence c1 signature等は上下逆さまです。
これも・・山中湖合宿スピーカー

MTM方式の場合
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 MTM方式は、アコースティック・ロビング(Acoustic lobing)を解決する最良の方法と信じています。それについては、又、改めて、ログします。

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タンノイの不思議なスピーカーで音出し その2

 タンノイ製の不思議なスピーカーの音出しを町田のオフ会で行いました。
 キャビネットは容量が20Lのダブルバスレフ方式です、それに対してICT™ Inductive Coupling Technology方式の不思議なフルレンジの組み合わせです。
 キャビネットはCOGさん(オフ会の主催者)が用意してくれました。そのキャビネットに指定の試聴用のバッフル板に取り付けて試聴を行いました。 

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 音出しは、43平米の広さを有す音楽室で、音響条件が優れた防音室なので、当然のことながら、バッフルステップによる低域の減衰が想定できたので、その補正回路を入れました。
 SpeakerWorkShopでシミュレーションを行い200Hzから-3dB減衰するバッフルステップ・コントロール(BSC)のLRフィルターを用意しました。
赤がオリジナルで、黒が補正後のシミュレーション結果です。
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 恐らく黒い線に近い状態で音が出ていると思いますが、大切な試聴時点の測定を、バスケットの鳴きで舞い上がり失念しましたが、次回は、デッドニングを行い、先ずは、バスレフのベントを調整して行うのが正当な方法だと思いますので、次回のオフ会では、ベントの調整を行い、そのうえで、試聴する環境に合わせたBSCの補正を考えたいと思います。

 肝心な音は、評判通りのドライバーで、中々良いバランスで、聞きやすい音でした。しかし、残念なことに、ドライバーのフレーム、防磁カバーの鳴きが酷く、再生を中断せざるをえませんでした。
 見かけは安っぽいスピーカーですが、一応 MADE IN U.K FOR TANNOY LTD.と記されており、聴いた音からすると、只ならぬスピーカーで有ることが想像されます。

  COGさん、何時も有意義で、濃厚なオフ会有難うございます。
 
 

AMD(アクティブ・マス・ダンパー)方式のスピーカー

 友人のN氏が、素晴らしいアクティブ・マス・ダンパー式スピーカーを作成されました。
 スピーカーの不要な振動を熱エネルギーに変換する方法として、物量によるAMD(アクティブ・マス・ダンパー)方式と、浮動で強固に固定しないFVA(Floating vibration absorption)がありますが、この写真のスピーカー(中央の黒いウーファー)は、同じモデルのスピーカー同士の背後(マグネット部分)を強固な金具で連結して、同位相の信号を入れる事により不要な振動を熱エネルギーに変換して打ち消し合うAMD(アクティブ・マス・ダンパー)の方法です。

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 本格的なAMDと言えば下段のスピーカーの様に背後同士を連結して、そのダイアフラムの面をスピーカー・キャビネットから出す方法ですが、このスピーカーは、それと異なりアクティブ・マスをキャビネットの中に納めた方法です。この方法ですと、現有のキャビネットを使い、連結したドライバーの片方をバッフル面に出す方法ですので、工作と移行が行い易く、簡便さの面からは、いつでも元の状態に戻せる優れた方法と言えます。

AMDのスピーカー構造
 このスピーカーが中段のウファーとしてキャビネット前面に取り付けられており、後部は内部に格納されています。
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肝心の音は
 音の雑味が無くなりスッキリして、音場の広がりが向上します。 
 写真では、Acctonのダイアモンドで高域を補っていますが、高品質なトゥーイータが要求される事になります。

アイデア
 そこで気付いたのですが、この方式は必ずしも同じモデルのスピーカーでなくても、打ち消し合う事を目的とした場合、アクティブ・マス側のスピーカーのMms(Moving mass)を適切に調整する事により、適応可能かと思います。
 不要となったスピーカーの再活用が可能になると思われます。

 ハイライトとして音出しを行っている時にキャビネットの振動は、殆ど生じていませんでした。又、実験に使用したウーファーは、Scan Speak Classicの18W/8545-01で、単体でも十分良い音がする銘スピーカーです。

タンノイの不思議なスピーカーで音出し その1

 一見、何も変哲の無い13cmの安物フルレンジスピーカーに見えますが、このスピーカーは、コアキシャル・スピーカーで有名なタンノイ製です。
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 このドライバーは、英国グッドマン公社で作られたICT(Induction Coupled Technology)方式の1L184というモデルで、仕組みは、かなり凝っており、フルレンジのボイスコイルの動作に合わせてトゥーイータの音源を電磁誘導で作っている、不思議なスピーカーです。
 その構造は、以下のとおりですが、一寸見ただけでは理解できません。

 図をクリックすると拡大されます。
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 タンノイのサイトで、製品の仕様をみると、以下の概要しか開示されていません。
 Sensitivity: 90 dB / 2.83 V @ 1m
 Nominal impedance: 6 ohm
 Frequency response: 80Hz - 22kHz
 Power Handling (RMS/Program): 50W / 100W
 Peak SPL (half space): 116dB

 Driver type: 5" polypropylene cone mid / bass unit incorporating a 1" aluminum dome ICTTM treble unit
 Dispersion: 60 degrees conical

このドライバーで、スピーカーシステムを作ってみたいと思います。

特性を測定してみました。
先ずは、周波数特性と位相の測定です。
かなり良い特性です。 この特性だと人の声が明瞭に聞こえます。又、10,000Hz前後にディップがありますが、この周波数に該当する楽器が無いので、問題無いと思います。場合により、小型のドーム・トゥーイータで補填すればOK・・
しかし、高域の位相はグチャグチャで駄目ですね。
CPA-5.jpg

歪み特性を測定しました。
13cmとしては、それ程すくれていません。 特に4,000Hz以上の歪みが85dBの音圧で60dB近くあり、率で言う1%を超えているのは大きいといえます。
Distortion.jpg

波形スペクトラム解析(ウォーターフォール表示)で、リンギングの状態を測定しました。
メカが凝っているので、そのダイアフラムの制止に時間が掛かるようです。
WF.jpg

最後に、インピーダンス特性とTSパラメータを求めました。
Qts:0.574 fs:82.06 といったところです。
CPA5_Imp.jpg


肝心の聴いた感想
 明るい、賑やか、人間の声が良く通る、高音が少々歪みっぽい、低音が出ない・・・
 測定結果そのままです。この中での一番のうりは、ソノリティが良い事です。
 量販店の店頭でお客さんを呼び込むスピーカーにピッタリです。
 耳の感度の高い2,500Hzから4,500Hzの帯域に、ピーク合わせて作られた巧妙なスピーカーです。
 これを何とかピュアー・オーデイオ用スピーカーとして仕上げたいと思います。

ラスベリーパイ その8 i2S接続のAKM4399DAC

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 ラスベリーパイ第七弾 i2S接続で、音質重視のDACとの接続です。
 DACは、誉れ高い旭化成マテリアルのAKM4399EQというDACです。又、ナショナルセミコンダクタ製のLME49720HAというキャンタイプの価値のあるオペアンプでLPFを構成します。
 この組み合わせであれば、市販5万円前後のネットワークプレーヤーの性能を凌駕する事が出来そうです。
 簡易に接続して音出しを行いましたが、結構良い印象です。
 取り敢えず、音の悪そうな青いフィリップスの電解コンデンサー等から、導電性高分子固体電解コンデンサに換装してみて、高音質化を狙います。

コンデンサー換装後の様子です。
 電解→導電性高分子固体電解
 セラミック→WIMAフィルム
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 ラズパイのOSがLinuxなので、WindowsのUSB DACより、さらに高音質が期待出来そうです。
 次のステップは、ラスベリーパイからマスタークロックが得られないので、クロックをルビジウムで打ち直すDACに進む予定です。

電子ボリューム4Wayの音出しその2

 電子ボリュームのリモートコントロール化の為に入手したリモコンのポットです。
 日本のALPS製(RK168)で、50KOhm/Aカーブです。この六連のポットはアキュフェーズのCX-260等で使われており、廉価でごく普通のカーボン抵抗で、チャンネル間では数%の誤差(ギャングエラー)が有ります。
 4連のポットをモータで回して、2チャンネルを音量調整に使い、他の2チャンネルは、制御と、減衰値の表示に使っています。
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 右上:1/99の数値で音量?を表します。  左下:赤外線受光部  右下:リモコン
 A38と表示していますが、4チャンネルの入力セレクター(A,B,C,D)でAを選択中で、38/99の音量を表しています。

 肝心の利用方は、このリモコンのポットの可変抵抗値で、電子ボリュームを制御する魂胆です。
 しかし残念な事に、求めている制御用のポットは、Bカーブであり、このリモコンポットはAカーブなのです。使えないことはないのですが、ドッカンボリュームの恐れが想定されます。そのときはAPLSの通販でBカーブのポットを購入して付け替えるか、それとも、いっそのこと、リモコンは止めてしまう選択も考えています。
 若し使えたとしても、動作が緩慢で、ボリュームのアップ/ダウンにストレスが生じます。最終的な採否は、音を聴いて投入する価値が有るか否かで決定するつもりですが、今のところ、否定的です。

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電子ボリューム4Wayの音出しその1

 電子ボリュームを正月が明けて余裕ができたので、完成させました。
 今回は、筐体は実験のために簡易に作り、音の確認に重点をおきました。
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音の印象
 組み上げて、最初の音の印象は、結構良いと感じました。
 AVアンプの様な音を連想していましたが、低ノイズで、割と存在感がありません。
 カーボンのポテンショメータと比較しましたが、電子ボリュームの方が良かったので、ほっとしました。
 試しに、4チャンネルをシリーズに接続して、電子ボリュームの個性を誇張して音を聴きましたが、それほど酷くはない様です。
 この電子ボリュームに使われている、バーブラウンの電子ボリュームPGA2311A(電源5V)は、Jeff Rowland Coherenceに使われたCirrus Logic IncのCS3310(電源12V)に照準を合わせて作ったピン互換の電子ボリュームチップです。しかし、電源電圧の5Vは決定的にダイナミックレンジ確保の観点からすると、かなり不利になる事は、いまから想像できます。

工夫
 電源にシールド付きのカットコアートランスを用い、安定化を二段、大容量のコンデンサーでリプルを排除した効果が得られて、良質な電源が得られました。その為に結構大型の筐体で、MSB社のMVCと同じ程度の大きさになりました。
 電源等を真面目に作ると、この程度の大きさは避けられない様です。
 又、コネクタ類は信頼性が高く、接点が銅製のオムロン製にしました。
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製作での問題点
 実は、配線が大変でした。
 一度、Gothamのシールドケーブルで配線を行ったのですが、8チャンネル(16回路)分をシールドケーブルで配線したら、汚らしいジャングル配線となったため、再度単心線で製作しなおしました。

 単心線のシールド無しで、丁寧に配線しました。
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ロータリエンコーダを止めてポテンショメータにした理由
 リモコンのポテンショメータを入手して、動作確認まで行い、制御用に投入する予定でした。
 しかし、残念な事に、そのリモコン・ポテンショメータの動作が鈍い事と、バックラッシュが大きいので、取り敢えず止めました。リモコンは、別途検討して、それが上手く行くまでは、極普通の31φのポテンショメータを使う事にしました。

ロータリエンコーダの難しさ
 ロータリ・エンコーダのパルスとPGA2311のアッテネーション・ステップの比率が1:1の状態でPGA2311の-95.5dBから0dBまでの全アッテネーション幅255+1ステップをカバーするには256パルスが必要です。
 ロータリ・エンコーダは、1回転あたり10~32程度のパルスを出力するので、-95.5dBから0dまで制御するのに何回転もロータリ・エンコーダのノブを回すことになります。
 ロータリ・エンコーダを使う場合は、PICのソフトが加速型でプログラミングされてないいと使い物になりません。
 この部分は、電子ボリュームの肝の部分であり、それが良く出来ているのが、Jeff Rowland Coherence、Capriと言えます。
 ノブを回転する速度を検知して、アッテネーション・ステップ比率をダイナミック(動的)を変える必要があります。
 これは、リモコンのボタンを長押し、寸押しにより比率を変えるのと同様ですね・・

電源オンオフ時のノイズ
 電子ボリュームの電源を切らないで使う事になると思います。
 試しに、アンプ、スピーカー等を繋ぎ、最後に電子ボリュームの電源をオンオフとした場合の実験を行ったところ、気絶しそうな位のポップノイズが生じました。

 原因は、電子ボリュームチップに電源が投入されると 100msの間に出力は、ハイ・インピーダンスで、爾後 急にローインピーダンスになる事が解りました。この時、電子ボリュームの出力側のメインアンプの入力抵抗が高いと、インピーダンス変化により、DCアンプと同様にノイズが発生します。これを抑える為に電子ボリュームの出力と GND間に 数k ~数10kの抵抗を入れると小さくなると思われます。しかしこの方法だと、アンプの入力インピーダンスにより周波数特性が変化するので、ベストの方法と良いとは思えません。
 別の方法として、電源リセットIC M51953BL(ルネサステクノロジ)を用いて電源投入時より約1秒の間ミュート端子をLowとして回路が安定するまでPGA2311の出力を遮断する工夫が必要です。
 電源ONはこれで良いとして、OFFはどうしましょう。 年増の厚化粧 ・・・やれやれ。
 継電器は嫌いだし、困りました・・・

電子ボリュームのおすすめ度は・・・
 やはり、音にオペアンプの色が付きます。
 そこで、あくまで個人的な結論ですが、若し入手可能で有れば、多段のポテンショメータでは無く、アッテネータ(定インピーダンス)がベストだと思います。
 減衰のピッチが-2dBでも、回路を工夫すれば、幾らでも微調節が可能ですし、47ポジションのアッテネータも市販されているので、その様な選択もありかと思います。

次のステップ
 もう少し聞き込んで、良い結果が得られたら、高級なケースに納め直して、リモコン機能を付加します。
 忘れていたパイロットランプ(不要かも)、減衰量を数値で表示する表示パネルを設けます。
 駄目でしたら、お祓い箱・・・・で、電源は3Wayアナログ・チャンデバに転用します。
 
測定結果と考察
青が入力側、赤が電子ボリュームの出力側です。
1000Hzの矩形波は、特に問題ありません、この周波数で違いが生じたら使い物になりません。
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50kHzの矩形波ですが、これも特に問題無い様です。
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20Hzの正弦波ですが、多少位相のズレが生じていますが、問題無い範囲と思われます。
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 測定結果等考察すると、ハム等のノイズも乗らず、実用上、全く問題無いのですが、測定結果に表れない音質については、何とも言えない状況です。
 今回使用したオペアンプ(BB社OPA2134)の音が好みなので、程々に良い評価になりました。電子ボリュームチップは、CS3310等オペアンプ機能の無いものを選び、好みのオペアンプで低インピーダンスで、ドライブするのが、お勧めです。
 電子ボリュームチップは、抵抗アレーを電子的に切り替えるICですから、音への脚色は余り無いのですが、それをドライブするオペアンプが曲者で、総てがそれにより決定されます。無いのがベストです。
 若しチャンネルデバイダーの出力インピーダンスが十分低いのであれば、CS3310を用いてオペアンプ無しの構成にすると、良い結果が得られると思います。

 それから・・・作って解ったことですが、単体の電子ボリュームで、まともの物は、極めて少ないといえることです。