スイッチング電源の真空管アンプ作製 改善

 12Vのスイッチング電源で、ヒーターと+B電圧(200V)の基となるDC12Vを供給しますが、先ずはスイッチング電源の12VのEMIノイズを減らす為に、村田製作所 EMIフィルタ ブロックタイプエミフィル BNX005-01を通して濾過します。番号①  次にDC12からスイッチング電源によりAC175Vを作り、それを整流後ごDC200Vの+B電源を作製します。そのスイッチング電源のコンバーターからのEMIノイズを少しでも減らすために、日立金属製のファインメットコアーにコモンモード巻を施したフィルターに+Bを通します。写真②
 DC12Vから+B(200V)を作るDC-ACコンバータのEMIノイズ拡散を防ぐために、洋白のケースを作り、シールドして、フレームグラウンドに落としました。洋白は銅と亜鉛、ニッケルから構成される合金で、低周波から高周波のシールドを狙って、この洋白としました。写真③
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 洋白の詳細は、ここ
 洋白の身近な物として、500円硬貨、水晶振動子のキャンケース、HOゲージのレールがあります。

改造した結果
 ケースを洋白の板材からカットして作製するのに、少々手間取りましたが、半日ほどで終わりました。

肝心な音
 改善する毎に、音が小さく静かに感じます。EMIフィルターの効果の現れだと思います。改善して特性が良化すると、真空管らしさが無くなり、半導体でもない一寸変わった音になってきます。

今後の予定
 既に200時間以上経過して、特に問題なく動作しているので、これで完成として良いと思います。

スイッチング電源の真空管アンプ作製 最終

 スイッチング電源(+B)の真空管アンプ作製を作製を開始してから一ヶ月程で、完成しました。スイッチング電源の電圧制御がフィードバック無しの場合、負荷により大幅に電圧が変動するのですが、真空管を装備して、充分にフィラメントを暖めてから、+Bの電圧を測定すると、210Vで、予定の200Vより5%程度高めとなり、許容できる範囲になったので、体力測定と音出しを行いました。
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スイッチングの電源
中央の黒いトランスが、スイッチング電源で、左側にファースト・リカバリーダイオードを、耐圧を考慮してシリーズとして、ブリッジ整流回路を組んでいます。
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体力測定の結果
 8オーム負荷で5Vなので、3W出力となりました。4オーム負荷の場合、6Wですが、真空管と電源が意気地無しなので、4オーム負荷は、無理そうです。能率87dBのスピーカーが、ガンガン鳴るので、100dB/16オームを超えるお寺大会のロートルJBLと10dB以上の能率差から30W以上に相当する出力なので、出力値としては申し分ないと思います。

肝心な音
 6BA8の3極部分と5極部分のカソードが共通(連結)しているので、NFB(負帰還)を掛ける術がなくNonNFBで動作音を聞きました。やはり歪っぽく感じます、又、帯域がナローで、蒲鉾型の周波数特性です。その代わりに元気で、ソノリティーに優れています。特に低域と高域がブーストされたドンシャリJPOPSを聴くと、威勢が良くて楽しいです。試しにクラシックを聴いたら、分離が悪く、ハッチポッチ( hotch poch)状態になり聴くに耐えられません。お寺大会の選曲は、邦楽とJPOPSで決まりです。

今後の予定
 6月17日(土)のお寺大会は2時間の発表枠で12人位の発表が想定されます。ひとりあたり、8分から10分の短い一発勝負ですので、ミスが許されません、これ以上改善の為に手間暇金を掛けて、 かまうのは、如何なものかという事で、これにて当日まで動態保存することにしました。

スイッチング電源の真空管アンプ作製

 手作りアンプの会主催の2017年夏お寺大会のお題は、「B電源にスイッチング電源を使用した真空管アンプ大会」です。真空管アンプには、A,B,Cと三種類の電源があります。フィラメントを熱して電子を放出する為のA電源、放出された電子を陽極(プレート)に集めるB電源、電子の流れを制御する格子に掛けるバイアスのC電源があります。その中で、高電圧で、扱いの面倒なB電源を、トランスではなく、スイッチング電源で供給するアンプを作りましょう・・という課題です。結構コアで、ハードルの高いお題です。

手作りアンプの会
 手作りアンプの会は2000年から始まり今年で18年間継続しています。月一回催されるオフ会は、200回に近づいており、年2回お寺で夜通し行う大会がありあります。参加者は、理系大学生、大学教員、プロ、アマ等千差万別です。
手作りアンプのページはここ

関東お寺大会の案内
詳細はここ

スイッチング電源
 一般的に市販されているスイッチング電源は、5Vから24V程度の物で、12Vとかノートパソコンだと18Vが多い様です。極く普通の真空管アンプの場合の要求+B電圧は、200Vから300V程度が必要ですが、手作りアンプ会員の中にはクレイジーな方がいて、放送用の送信管を用い、+1,000VのB電圧と命を掛ける方が、いらっしゃると思われます。私は250V程で大人しく作る予定です。

具体的な電源
 電源として当初、昔の真空管自動車ラジオに使われていた、トランスとバイブレータ(ブザー)を用い100Hz程度の発信で、スイッチング電源を手作りすることを考えましたが、レギュレーションの中に、「スイッチング周波数は400Hz以上とします。」という条件があって、自作ではハードルが高く諦めました。そこで、以下のようなスイッチング電源を用いる事にしました。DSC02824.jpg

スイッチング電源の仕様
 SG2525AというSTMicroelectronics社の「REGULATING PULSE WIDTH MODULATORS」といICを用い、STP80NF70というSTripFET™ II Power MOSFETをドライブしてパワーを作ります。SG2525Aには、スイッチング電源に関する全ての回路が備わっていて、特段に苦労する部分はありません。ただし発信周波数が可聴帯域外で、170KHz付近なので、ACからDCに整流するダイオードは、普通の物では、スイッチングの損失(熱に変わる)が大きいので、使えません。そこで、高い周波数でも損失の少ない、General Semiconductor(Vishay)社製のウルトラ ファースト リカバリー・ダイオード UF5408( Maximum reverse recovery time:75ns )でブリッジの整流回路を組む事にしました。

 SG2525Aの仕様はここ
 UF5408の仕様はここ

アンプの仕様
 肝心なアンプは、以前に電池で駆動するアンプ大会時に作製した6AB8という3極5極の複合管を用いたプシュプル(PP)アンプを改造する事にしました。6AB8という球は、3極と5極のカソードが共通で、アンプに使うには、とても難儀な球で、これ、又、コアなアンプです。出力トランスは、230V:6Vの電源用トロイダルコアートランスを用い、捲線比からインピーダンス比を求めています。電源、球、出力トランス等、全てがコアなアンプです。

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rejin.jpg トロイダルコアートランスをレジン(2液ウレタン)でトランスカバーに封入

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真空管アンプには、アキシャル型のコンデンサーがスタンダードです。

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回路の基本は、ムラード(Mullard)発表の物です。オリジナルの回路はここ


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レイアウトを考えている時が、一番楽しいです。

ディスクリート・ヘッドホンアンプの作製

 手作りアンプの会主催のお寺大会のお題は、「ディスクリート・ヘッドホンアンプ」です。ICとかオペアンプを使う事ができないので、ハードルが高いです。安直に実現するとしたら、既存のパワーアンプのファイナル段の石(半導体)をスケールダウンして、それに見合った電源を用意すれば、シュリンク・ヘッドホンアンプの壱丁上がりなのですが、その方法では如何なものかと・・そこでヘッドホン専用のアンプを作成する事にしました。
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ディスクリート・ヘッドホンアンプ
冬お寺2015-1
 ブリーダ電流バイアス回路をアレンジして、ダーリントン回路で利得が不足するところを補います。このブリーダ電流バイアスを使った増幅回路の特徴は、温度や電源電圧が多少変動してもコレクタ電流が、ほとんど変わらず、そのうえhEFにほとんど関係なくラフに設計できます。 RA、RBはブリーダ抵抗で、電源電圧を分圧して、ベース、エミッタ(グランド)間の電圧を安定に保つ働きをします。 Q1.Q2は擬似ダーリントン接続でゲインを稼いでいます。

実装
 ケーシングは、ハモンドのアルミ・ダイキャストケースで、塗装はシルバーのハンマ-ト-ン仕上げの物です。受動部品は、数が少ないので、一寸凝って抵抗はDAILの巻き線抵抗を使い、他は極普通のコンデンサーです。

電源
 電源は当初、秋月のスイッチングのACアダプターを使いましたが、スイッチングの高周波ノイズが盛大に乗って、ヒステリックな音がするので、手持ちのリチウムイオン二次電池(7.2V)に変更しました。結果は上々でノイズを皆無にする事ができました。
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肝心な音
 SNRが高く、鮮度の高い音で中々良いですが、このアンプと電源に加えてプレーヤーを持ち歩くの難儀です。

 音の良さ、携帯性、仕上げ等、完成度の総てにおいて、どう逆立ちしても以下のMojoにはかないません。
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考察
 今回作製した、アンプは、お寺大会御用達で、普段使いは重くて、使い勝手が悪く有り得ないです。お遊びとしては良いですが、結果として塵を作った事になりました。それからリチウムイオン二次電池で得たヒントですが、電動アシスト自転車のバッテリー(3.6V×7個=25.2V)をオーディオシステムに応用したら、ノイズ問題から逃れられそうですね。

 

無帰還アンプ・バカスケの夏休み

 チビスケJR.の長男にあたる、バカスケをI氏からお借りする事が出来ました。
 真っ赤なヒートシンク、防護カバーが特徴で、チビスケJR.の4倍の容量を有します。又、出力が10Wから40W超えにアップしていて、実際に使って見ると、数値の差以上に大きな違いを感じます。特にイコライザーを用いて、特定周波数の音圧調整を行う場合、このパワーの差は大変助かります。
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シャシーの構造
 シャシーは、アルミ合金のプレートとアングルを巧みに使い、市販のシャシーを超える素晴らしい出来です。この様に加工するには、精度を求められるので、結構大変なつくりです。赤いヒートシンクは、塗装では無く、赤のアルマイト仕上げでとても美しい光沢を放ちます。
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この無帰還アンプの特徴
・分解能が高く、楽器の位置が解る
・音場感が豊富で奥行き感が出る
・基本的な特性(f特、歪、位相)が、NFBアンプと遜色ない
・サ行の声の荒さが出ない
・音量を上げてもうるさくならない
・ダンピングファクターが適度に高く、無帰還アンプ特有の低音の遅れが無い
・ソノリティーが高い
・非省エネ

部品のレイアウト
 部品の配置が、合理的で熱対策、ノイズ対策が出来ており、ケーブルが最短で配線されています。又、スケルトン構造なので、放熱処理は完璧です。
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で、肝心な音は
 自作した、チビスケJR.と全く同じ傾向の音で、聴いていてとても気持ちが良いです。但し低音の出方は、こちらのバカスケの方が好ましいと思います。現在、メインシステムでは低域に制動力の強いicePower(PWM)を用いていますが、このアンプを投入して、低域がどの様に変化するか、聴いてみたくなりました。今まで数知れないアンプを聴いて来ましたが、このアンプは本当に音が良いです。この無帰還アンプは今までの無帰還アンプとは、一線を画するアンプの様です。