BBC ロジャース LS3/5A

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 ロジャース LS3/5Aです。
 1970年代に登場した、イギリスBBC規格の小型モニタースピーカです。
 高さ30.5cmの密閉キャビネットの中身は、KEF社製造のポリコーンの11cmウーファーB110とアルミメッシュでガードされた2cmソフトドームT27で構成されています。
 パッシブ・ネットワークは13個ものLCR素子で構成され、しかも高域には、トランス式のアッテネーターを用いるなど、ミニコンポ風の外見と異なり、かなり高度なスピーカシステムなのです。 キャビネットの素材は密度の高い樺合板で、現代の無共振をねらったものとは異なる板厚であり、この響きをどのようにコントロールするかが鳴らし方の重要な要素の一つです。
 インピーダンスは英国伝統の15オームで、能率はかなり低く現在の基準で83dB以下であり、最大音圧レベルは95dBとなっています。 このスピーカーの特性を生かすには、以下の様にかなり贅沢な環境が必要です。
 
  ・ブックシェルフ型でありながら、広い部屋が必要です。
  ・スピーカーの間隔は2m丁度に離します。
  ・背後の壁から0.7m以上離します。
  ・高さは、1m以上のスタンドに置きます。
  ・前面のスピーカー・グリルは、外しません。
  ・アンプはNaim NAIT、Quad 405限定です。

 特に設置については、ロジャースの設置マニュアルに明確に記載されおり、それを守らないと、まともな音で聴けません。
 スピーカーが小さいので、棚や他のスピーカーに載せた場合、棚や他の箱と共振して、中低域がかぶり、正しく評価できません。
 
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 私がLS3/5Aのパッシブ・ネットワーク実体から、配線図を起こしたものです。
 購入時期により、受動部品の定数が多少異なると思いますが、参考にはなると思います。
 ウーファー、トゥーイータには、インピーダンス補正回路があり、低域には、1,000Hz付近をノッチフィルターで、分割振動によるピークを潰しています。
 
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 インダクターについては、直流抵抗の少ないコアー入りを用い、キャパシターについては、電解型を使っていません。また、アッテネーターは、抵抗のL-padを用いず、トランス型です。
 このアッテネータのタップをずらす事により、高音のゲイン調整が出来ます。
 おそらく、設置場所に合わせて調整可能な様な仕組みとなっていますが、これに関する情報は、少なくとも日本では無かったと思います。一寸聴いて、低音が出ない、高音が出すぎる、とかの評価は、悲しい話です。

 スピーカーに詳しい方は、この回路を見ただけでも、ただ者では無いと解ると思います。

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 これは、LS3/5Aの周波数特性です。
 6リットル程度のスピーカーとしては、好まし特性で、位相の回転も素直です。
 たまに80Hz付近の倍音が再生されたとき、リッチな気分になるように、仕組まれている様です。

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 これは、インピーダンス特性です。
 fsが10Hz程差が生じています、経年変化が原因か、英国の工業製品のレベルか不明ですが、聴感上では、解りません。
 位相特性は、fs付近を除いてフラットです、ここまで良くマネージメントされたスピーカーは極めて珍しいと言えます。 

 スピーカーを自作して、そのスピーカーの音に耳(脳)が慣れてしまい、冷静な判断ができなくなります。
 そこで、定期的に、LS3/5Aを聴いて、聴感補正のリセットを行うことにしています。

 肝心の音は、バランスが良く、聴き易く疲れない音です。
 最大の特徴は、ソノリティが特に優れておりNHKのニュース(男性のアナウンサー)を聴くと、近くに居るようで、とても聴きやすいです。

 オーディオ史に残る銘スピーカーですね・・・