LP再生システムのリファイン

 最近、LPレコードを久しぶりに聴いて、一寸、楽しめると思いました。しかし普段使いには面倒で、リファインの為の投資は如何なものか、と思ってました。しかし、ここは最後の足掻きとして、MCカートリッジの昇圧トランス(MCトランス)を、高音質になることを期待して、入れ替えてみることにしました。

昇圧トランス/ヘッドアンプ
 MCカートリッジからの微弱な電気信号をトランスを使って20dB(10倍)程に昇圧させるのですが、良いトランスに巡り会えれば、SNRを簡単に確保できます。基本的にトランスの音になる傾向です。それに較べて、ヘッドアンプは、MCカートリッジからの電気信号を半導体を使って昇圧しますが、高いSNRを確保するのが大変であり、使う部品の選択、回路の設計技術と、インプリメンテーションの能力により、雲での差が生じます。総じて、値段がピンきりで、どれが良いのか解りません。

現在のトランス
 使用中のトランスは、DL-103用の純正のトランスで、AU-300LCで、タムラ製作所のトランスでPC (78パーマロイ) ケースで2重にシールドされている、親指程度の大きさのトランスです。ケースを開封してみると、トランスのみで、負荷抵抗、スイッチ等が無く、DL-103にオプティマイズされて、簡潔明瞭です。このトランスに対抗して、好結果を得るのは、かなり困難と言えます。
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昇圧比 : 1 : 10 (20dB)
出力バランス : 0.5dB以内
適合カートリッジインピーダンス : 3Ω~ 40Ω
1次インピーダンス : 40Ω
2次インピーダンス : 4kΩ
周波数特性 : 20Hz~50kHz (一次側 40Ω 、二次側 50kΩ)

アンプ、トランスどちら
 ヘッドアンプを作る程の技術が無いので、新たなトランスでチャレンジしてみます。その為には、古今東西で評価の高いトランスを探して、作ることにしました。

新たなトランス
 昇圧比 : 1 : 10 (20 dB)程度として、入手困難でアンテイークな、UTC、TRIAD、STM、JS、ノイマンがありますが、現在でもEMT(EST10)とオルトフォンのSTシリーズは、購入可能です。それを入手するのも良いですが、一寸調べてみると、オルトフォンのハイエンドのトランスが、ルンダール(スウェーデン)製トランスを使っている事が解りましたので、早速、ルンダールのトランスを米国ノース・カロライナ州エイペックスから調達する事にしました。

トランスの仕様
 トランスは、ルンダール製のMCトランスLL1681で、かなり大きなコアーボリュームで、1個90グラムを有します。
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仕様は以下のURL
 http://www.lundahl.se/wp-content/uploads/datasheets/1681.pdf
 昇圧比は1:13又は、1:26で、結線により選択可能です。DL-103の出力電圧が、0.3mV(1000Hz 50mm/sec水平方向)ですので、結果、約4mVに昇圧されますので、オリジナルのトランス以上に、最適だと思います。また、インピーダンスは、巻線比の二乗に比例しますので、フォノイコライザーアンプ側のインピダンスが47kオームで、Low出力High受けとすると、以下のような負荷抵抗の設定が考えられます。

負荷抵抗
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ケーシング
 アルミダイキャスト製のケースに収める予定です。

耽美主義の極限 「夜のガスパール」

 今日の午後は、LPで音楽を楽しみました。
 曲目は、モーリス・ラベルの「夜のガスパール:Gaspard de la Nuit」、「水の戯れ:Jeux d'Eau」、「ソナチネ:Sonatine」で、演奏は、ジャック・ルヴィエ(Jacques Rouvier)です。それから、シャルル・カミーユ・サン=サーンス(Charles Camille Saint-Saëns)のソナタ集で、何れもカリオペ:CalliopeのLPレコードです。

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カリオペレコード
 カリオペレコードは、フランスのマイナーレーベルで、メジャーレコードがマルチマイクで、位相がグチャグチャで、音が団子状態のレコードが多い中で、ハルモニアムンディーと並び、ワンポイントマイクに拘った高録音です。入手した三十数年ほど前には、その良さが解らず、殆ど針を落としていませでした。

夜のガスパール
 Gaspard de la Nuitは、19世紀のフランス近代詩人アロイジウス・ベルトランの散文詩をモチーフにつくられ、ベルトランの詩集「夜のガスパール」は、彼の唯一の代表作であると同時に、文学史においては、散文詩 :Poème en proseという新ジャンルを切り開いたエポックメイキングな詩集として位置づけられています、この散文詩が、そういう名誉をあずかるまでには、ちょっとした廻り道があったりして・・・それをもとにモーリス・ラベルが作曲した、耽美の極限 「夜のガスパール」です。

音と演奏
 音は、とても良くて、CDをリッピングしたものと、遜色ありません。今日は、RME FirefaceのADAC(AK4621EF)を192kHz/24bitに設定を改めて行いましたので、陰影の表現が美しい艶のある良い音で聴くことが出来ました。演奏は、一寸、気難しいですが、なかなかのものです。フランスの曲は、フランス人に限ります。歌舞伎が日本人以外に向かないと同じですね。

LPレコードプレーヤー命の調整

 久し振りにアナログ系(LPレコード再生)を整備しました。アナログ伝送路のRCAコネクタ、シェルリード線コネクターをイソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)を使い、丁寧にクリーニングを行いました。又、ターンテーブル、トーンアームのバランスを取り直して、AD変換の調整を行いました。アナログ機器は、調整個所が多くて、面倒見が大変です。しかし調整しろが有るので、最善の状態に追い込める訳で、調整個所の少ないアナログ機器は、ベストな状態に追い込めず、妥協して動作していると言えます。
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RCAコネクタのクリーニング
 前回の保守から半年程の経過ですが、ガーゼを使い、無水アルコールで接点を拭くと、結構黒ずみます。クリーニングを行う度に気になるのですが、接点の金メッキが、本物の金で、役にたっているのか気になるところです。

ターンテーブルの調整
カートリッジの針先にエネルギーを与えるのがターンテーブルの役割です、LINN LP-12の設置・取扱説明書に沿って調整しました。この取説(58頁)は、残念ながらリンジャパン(サウンドクリエイト)の製品には添付されていません。
 ・プリンスの水平出し
 ・回転数(rmp)の調整、モータの高さと角度
 ・モーター隈取コイルバランス調整
 ・電源(AC85V)ヘラクレス(Hercules)の電圧調整
 ・進角コンデンサーの調整
 ・スプリングの向きとバランス調整
 ・アームボードの高さ調整
 ・アナログケーブルの配置調整
 ・フロート・ゲル材の調整
 
トーンアームの調整
SME3009の調整項目が多く、取扱説明書に沿って、丁寧に行いました。
 ・水平バランス
 ・ラテラルバランス
 ・高さ調整
 ・針先の位置調整
 ・カートリッジの角度調整
 ・オーバーハング調整
 ・インサイドフォース・キャンセラー調整

 調整は、結構デリケートです。カートリッジを変える度に調整が必要で、面倒です。取り敢えず、デノンのDL-103用にフィティングしました。

針圧
 針圧は、デノンのDL-103の仕様に合わせて12%増の2.8グラムとしました。針圧は、トラッカビリティーの観点から、仕様で許される最重量にすると、良い結果が得られると思います。

サンプリングレートとゲイン
 RME FirefaceのAD変換サンプリングレートと、ルビジウム・ワードクロックを96kHz/24bitから、176.4kHz/24bitに改めました。又、入力ゲインもAD変換でサチュレーションしない範囲で高めに設定しました。

肝心な音
 聞き慣れたDL-103の音がします。特に歪も聴こえず、何でもない極普通の音です。消耗品の針も交換で、25,000円と廉価なので、こんなものでしょう。結論として、LPレコードプレーヤーは調整が命です。

オルトフォンMC20 Super IIの針を修理

 カンチレバーの折れた、オルトフォンMC20 Super IIに針を継いでみました。針の折れたMCカートリッジの現状復帰は、事実上不可能です。たとえ純正パーツの入手が出来たとしても、接着材による質力の増加、カンチレバーの継ぎによる歪率の変化で、基に戻すことは、絶対に不可能です。カートリッジの音質の支配度は、カンチレバー、スタイラスで決定されるので、順当に移植できたとしても、オリジナルとは、全く異なる物になります。しかし、そこは、お遊び感覚で、「瓢箪から駒」の発想で、カンチレバーの移植を楽しむことにしました。

MC20 Super IIの解体
 先ずは、MC20 Super IIの解体ですが、とてもシンプルに出来ていて、金メッキされた2本の螺を外して、外枠をスタイラス側にスライドすると、外れます。弱いダンプ材で固着していますが、本体に傷が付かない様にプラスチックのドライバーを用いて外します。Unmagneticの工具があれば別ですが、金属のドライバーは、カートリッジの磁力により吸引されて操作を誤ります。
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以下が、コイルとカンチレバーの根元
 磁気回路を構成するプレートは、簡単に外れるので、移植のし易さから外します。赤いダンパーはシリコン系のゴムのようです。このゴムのヤング率と、手前の四角いマグネットの磁束密度、コイルの線材の組み合わせで、製品のバラエティーを構成している様です。
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移植する針
 移植する針は、オリジナルのカンチレバーより少々太い事が肝要です。今回は、得体の知れないカートリッジの針より、廉価な新品のMMカートリッジの針を移植する事にしました。廉価で音の良い針を探したところ、オルトフォン「Omega」というカートリッジが、巷で好評なので、早速入手しました。スタイラスは、楕円針ですが、無垢のダイヤモンドでは無いようです。
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針の摘出
 針をニッパーで、カットする様な荒いことはできません。切り口が潰れて広がり塵となります。今回は、ルーターで少しずつ切削して、針を摘出しました。針が無傷で取り出せたら、針の後部にある、マグネットを外します。ここまで来たら20%程の進捗です。 

針の接合
 カンチレバーの接合は、最大の難関作業と言えます。ここで、移植の成否が決定される一発勝負です。接着剤は、固まるのが遅く弾性の低い無機系の物が良いと思います。今回は、メタルロックというエポキシ系を使いました。移植する側のカンチレバーをテーパー状に加工(広げる)為に、縫い針を使って、丁寧に広げます。そして、折れたカンチレバー移植するカンチレバーがスッポリ収まる状態に根気よく調整します。
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移植終了
 移植が成功したMC20 Super IIです。
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肝心な音
 オリジナルのオルトフォンMC20 Super IIの繊細な音とは全く異なります。シュアーのMM、オーディオテクニカVMシリーズの様な力強い太い音です。一寸聴き込んでみますが、お遊びとしては、先ずは成功です。それにしても、オルトフォンのカートリッジは、日本製、米国製のそれと較べて、精度が高く良く出来ています。今回は、初めてのカートリッジの修繕でしたが、とても楽しかったです。しかし、実体顕微鏡が無く裸眼では少々辛いです。
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バッハのブランデンブルク協奏曲

 久し振りに、ゆったりとした気分でレコードを聴きました。
 再生した曲は、バッハのブランデンブルク協奏曲です。この曲は「カール・リヒターとミュンヘン・バッハ管弦楽団 」と「アーノンクールとウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」のLPが好演奏で好みです。何れも1960年代のアナログ録音でありながら、素晴らしい演奏と録音です。未だこの演奏と録音を超えるレコードに出会った事がありません。

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カール・リヒター(写真右)
 ミュンヘン・バッハ管弦楽団
 ハンスハインツ・シュネーベルガー(ヴァイオリン)
 オーレル・ニコレ(フルート)
 カール・リヒター(チェンバロ)
 カール・リヒター指揮
 西独・ARCHIV 1967年1月 ミュンヘン

ニコラウス・アーノンクール(写真左)
 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
 ニコラウス・アーノンクール指揮
 古楽器
 西独・テレフンケン:1964年

色の褪せない素晴らしい録音
 リヒターの録音は独グラモホン系のバロックを得意とするアルヒーフで、アーノンクールは、泣く子も黙る、テレフンケンの「Das Alte Welk」の重量版です。現在、販売されているCDと比べて全く遜色無く、美しく再生ができます。特にテレフンケンのレコードは録音レベル(ゲイン)が高く、最近人気のある、ニセレゾを完全に凌駕していると思われます。

素晴らしい演奏
 やはり、圧巻は、BWV1050 Allegroのリヒター自らのチェンバロによる長めのカデンツァです。この部分を聴くと改めて、リヒターがバッハを奏でてるのでは無く、「バッハが、リヒターに託して演奏をさせている」と言った感じが充分に解ります。そして、この演奏と録音が、1960年代(半世紀前)であることに驚嘆します。

LPとCDの相違
 LPとCDを聴き比べると、LPの方が華やかです、別の言い方をすると、少々歪っぽく煩く感じます。CDの方が圧倒的に安心して聴くことができますが、テレフンケンのLPのは、LP、CDの違いを超えた、独特の音の響き、艶を感じます、これは、LPだからと言うことではなく、何か特別な事を感じるレコードです。

ブランデンブルク協奏曲全曲演奏会
2018年03月24日(土)にヤマハホールで演奏会があります。終わった後の二次会には銀座7丁目という場所は最高に良いです。
https://www.yamahaginza.com/hall/event/002849/