ノイズ対策が進むと

 オーディオ・システムのノイズ対策を徹底的に施すと、聴感上で静寂感が向上して、音が優しくなります。この現象を、「音数が減った」とか、「音が死んだ」、「つまらなくなった」と例える方がいます。実は、この変化は、「為て遣ったり」と言える現象であり、その特性を考慮して、高域、中域の利得を聴感上で微調整(ゲインを上げる事が多い)を行いオプティマイズする事により、音が良化します。実際の場合は、ノイズ対策後に中高域を0.5~1dB程アップした結果で全体のバランスが取れました。この様な場合、どの様に変化したかを定量的に把握して診る必要があります。

クロックの確度と音質
 クロックの精度と異なり、短期的なクロックの確度(位相ノイズ)の音質による違いは、やはり空間の前後感と音の厚みであり、音数つまり、密度感は音の粒立ちがマッシブで厚みがある音は、実は確度の低いクロックの音です。良いクロックの音は細身で、上品で静かであり、空間が広く立体的で、そして前後感のある音です。バイオリンに刺激性が無く、低音部の楽器の種類が明解になるのが、良いクロックといえます。コントラバスの音程が明確で、澄んだ低音で、「ズーン」と言った感じで、バイオリンの音色が甘く感じられます。この様に変化してきたら、しめたものです。

クロックの汚れ
 クロックの波形がノイズの汚れで歪まず、精密かつ正しくゲート回路を動作させる事により、低ひずみの音の再生が可能となります。そのことから、基本的に位相ノイズの少ないクロックと、その動作を確実なものとするノイズ対策が大切です。今回はルビジウムクロックの電源にノイズフィルターを施してありますが、ワードクロック・ケーブルのノイズ対策が必要と思われます。それ以前に、ワードクロックのケーブル・ターミネーションとインピーダンス整合が重要である事は言うまでもありません。

ワードクロックの品質
 CD品質のワードクロックは、44.1khzで、システム(マスター)クロック22.5792mhzから、PLL回路により 1/512 の分周により作られる為にPLL回路の品質に大きく依存されます。
 実際の内部処理は、FEI Communications, Inc. の FE-5680Aから生ずる100mhzを段階を経で22.5792mhzにPLLで分周して、更にワードを作るので、結構、多段で複雑です。その為か、必ずしもルビジウムクロックだから優れているという事は無さそうす。同様にNDK製のOCXO DuCULoN®を使えば総てハッピーと言う事でなく、周到な周辺回路の設計が必要な様です。ステディークロックという名称で、高品質のクロックを有する、RMEのオーディオ・インターフェースの内部クロックが、無難な様です。

PLL回路
 PLL:Phase locked loop(位相同期回路)PLLシンセサイザーとも呼ばれ、位相の制御と帰還により、新たな周波数を作る、単純な分周で、ターゲットの周波数とバウンダリーの関係にあれば精度が確保できるが、非バウンダリーの場合に、音源ベースで必ず位相ノイズが生じて、クロックのジッターが理論的に生じます。
 好ましくない例として、CDの44.1khzを48khzで再生すると、必ず音質が悪化します。再生する音源がCDの場合は、クロックを22.5792mhzとして、業務用の48khz中心の場合は、24.576mhzとすべきです。

ルビジウムクロックから分周によりジェネレートされたワード

RME Fireface UCX ワードの出力

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分周時のPLL使用

「CD品質のワードクロックは、44.1khzで、システム(マスター)クロック22.5792mhzから、PLL回路により 1/512 の分周により作られる」とお書きになっていますが、私は整数比の分周の場合、特に2のべき乗の場合は、単純にフリップフロップのロジック回路で行われていると信じ込んでいました。もし、PLLを実際に使っている他の商品具体例をご存じであれば、ご教示いただけますれば幸甚です。(今回は、ご自分でお使いのものの特殊例を指しておられるのかもしれないのですが、ご記述からは一般論のように理解したもので)

ところで、いちばん下に掲載されたグラフは、何を測定したものか、お示しになっておられませんけれど、もしJ-Testの結果だとすると、SteadyClockとマーキングされているグラフは、明らかなサイドバンドの盛り上がりが見えて、StereophileのAPの測定グラフの場合ではそれなりの評価しか得られない場合のものと似ていますね。

Re: 分周時のPLL使用

コメント有難うございます。

 港北コミュニケーションのRB-1(1世代前の機種)で、PLLでワードクロックを作成していま。出力周波数に合った遮蔽フィルターが、入ってないので、高調波も含まれて、矩形波がリンギングを起こしています。ワードに限らず10Mhzの波形波も同様です。ルビジュームクロックだから良いとは言えません。FE-5680Aの内部(50Mhz)から直接にDDSを用いクロックを作り出せば、スプリアスの低いワードが作れると思います。

 すみません、写真は、ルビジュームとステディークロックと間違えています。ノイズが少ない方が、RMEのステディークロックです。写真は削除させていただきました。

No title

 こんにちは

 手元に無いので正確ではないかも知れませんが、港北のRB-1もワードクロック生成は内部DDSを使っていてPLLではないかと思います。
 ただし元クロックは50MHz程度からではジッタは取り切れないので波形は余り綺麗ではありません。しかしこのジッタはある特定の帯域に出るので通常のランダムジッタほどは音質には影響が少ないかも。
 まあFFロジックもジッタが出ないわけではありませんが。

 FE-5680Aから22~24MHzをとるには一旦元の50MHzを500MHzあたりに上げてからDDSを使って分周するのが好ましいです。

 まあクロックは中々難しいですが、クロックの発生源に対するノイズの影響も気になります。

Re: 分周時のPLL使用

grigri様、ケン様
早速のリアクションをいただきありがとうございました。
私は、FE-5680AもRB-1も持っていないので、実物を確認せずにインターネットで入手できる情報だけで話をしていることをお許し下さい。私は、以下のように理解しています。どうか間違いをご指摘下さいませ。

まず、FE-5680Aは、例えば10MHzとかの固定周波数出力かまたは20MHzまでの任意設定周波数う出力が可能であり、22.5792MHzを出力可能なものはなく、ケン様もいつかPLLを使う逓倍回路を使っておられたと思います。従ってRB-1が、FE-5680Aを使っているとすると22.5792MHzを分周して44.1kHzを得ることはありえなく思うのですが、いかがでしょうか?
つぎに、FE-5680Aのメカニズムについての話です。間違っていたらこの点についてもどうか指摘下さい。ルビジウム発振器と呼ばれるものは、ルビジウム元素自体が発振子として機能するのではなく、その蒸気を含む真空管が、6.8GHzのマイクロ波を共鳴吸収する物理現象を、電圧可変水晶発振器(VCXO)の周波数較正に用いることにより、絶対周波数精度を高く保っている発振器だと理解しています。FE-5680Aの場合は、そのVCXOの周波数は50.255MHz付近で、その百倍以上の逓倍率の周波数のマイクロ波を作って、それを常にわずかに変動させながら吸収の極大を探っている。すなわち、常に50.255MHz付近でわずかに動かしているはずです。この仕組みは通常のPLLではなく、途中にロックインアンプを介在させたFLL(Frequency Lock Loop)の機構である。
このようにして、絶対周波数較正されたVCXOの50.255MHzの出力は、DDS(一種の固定数値パターンのADC)のカウントアップ用の周波数源として注入される。DDSでは、50.255MHzを1つの時間の最小単位として1~20MHzの波形を合成し、周波数が整数倍にならない場合は、1周期の最後の誤差を切捨て無視する。

したがって、RB-1がFE-5680Aを使って、44.1kHzのワードクロックを出力する機能があるとすると、まず20MHzまでのFE-5680Aが出力可能なマスタークロック信号を作っている。そのマスタークロックをカウンタ型かPLL型の分周ICを使って44.1KHzに分周して生成していることが推測される。