DACとワードクロックの関係

 昨年、ノイズ対策中にネットワーク・オーディオの要であるDACを交換しました。従前のRME Fireface UCから、同社のUCXに交換(アップグレード)したのですが、その時には、気づかなかった事として、内部のSteady Clockと外部のワードクロックで、音質の差が、かなり有ることに気が付きました。ノイズ対策を行う前は、その差は僅かでしたが、ノイズ対策によりクロックの確度の差が、顕著に音質面に現れてきました。

RME Fireface UCX
フロントパネルWCが点灯して、ワードクロックの供給とロックを表します。
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クロックの見なし
 デジタル音源の要であるクロックを、以下のフローの様にコンディショナル・リサンプリングを行います。
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 基本的には、CD音源が大半なので、ルビジウムのワードクロックを176.4kHz(4逓倍)に統一します。CDの場合は、44.1kHzから2逓倍の88.2kHzとして、88.2kHz、176.4kHzのSACD系は、リサンプリングせずにそのまま再生します。48kHz,96kHz、192kHzは、176.4kHzにリサンプリングする仕組みです。あいにく48kHz系のダウンロードして購入したハイレゾ音源が不利になりますが、正直、ハイレゾの殆どが、高音質でありながら、良い演奏が少ないので、CD系を優先しています。48kHz系に傾注して聞く場合は、ルビジウムのワードクロックを192kHz(4逓倍)に切り替えて、音源はリサンプリングしないで、再生します。

クロックの違いによる音の差
 DAC内部のSteadyClockをベースに再生すると、言葉で表現が難しいですが、簡単に言うと、「つまらない音」です。それと較べて、クロックをルビジウムのワードクロックにすると、不思議な事に音場感が豊かで、艶やかになります。特に前後関係の音場感が豊かになり聴いていて、とても楽しいです。何故、このように為るか不思議ですが、ノイズ対策前は、この様な現象をそれ程に感じませんでした。一時、ルビジウム・クロックの使用中止を考えましたが、残して置いて良かったと思いました。

ワードクロックと内部クロック
 RMEのサイトでは、SteadyClock(ステディークロック)の優位性を図柄入で力説しています。確かに他の業務用DACに較べて優れています。それでもルビジウム・クロックの方が優れているのか不明です。
 分周により得られるワードクロックと内部クロックでは、かなりのハンディーがあって、用途が異なります。クロックの電源品質、クロックの立ち上がり波形、中心周波数近傍のスプリアス等、ディープな部分でよく解りません。取り敢えず音が良かったので、現時点では結果良しとします。

SteadyClock™
https://synthax.jp/steadyclock.html

バッハのブランデンブルク協奏曲

 久し振りに、ゆったりとした気分でレコードを聴きました。
 再生した曲は、バッハのブランデンブルク協奏曲です。この曲は「カール・リヒターとミュンヘン・バッハ管弦楽団 」と「アーノンクールとウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」のLPが好演奏で好みです。何れも1960年代のアナログ録音でありながら、素晴らしい演奏と録音です。未だこの演奏と録音を超えるレコードに出会った事がありません。

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カール・リヒター(写真右)
 ミュンヘン・バッハ管弦楽団
 ハンスハインツ・シュネーベルガー(ヴァイオリン)
 オーレル・ニコレ(フルート)
 カール・リヒター(チェンバロ)
 カール・リヒター指揮
 西独・ARCHIV 1967年1月 ミュンヘン

ニコラウス・アーノンクール(写真左)
 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
 ニコラウス・アーノンクール指揮
 古楽器
 西独・テレフンケン:1964年

色の褪せない素晴らしい録音
 リヒターの録音は独グラモホン系のバロックを得意とするアルヒーフで、アーノンクールは、泣く子も黙る、テレフンケンの「Das Alte Welk」の重量版です。現在、販売されているCDと比べて全く遜色無く、美しく再生ができます。特にテレフンケンのレコードは録音レベル(ゲイン)が高く、最近人気のある、ニセレゾを完全に凌駕していると思われます。

素晴らしい演奏
 やはり、圧巻は、BWV1050 Allegroのリヒター自らのチェンバロによる長めのカデンツァです。この部分を聴くと改めて、リヒターがバッハを奏でてるのでは無く、「バッハが、リヒターに託して演奏をさせている」と言った感じが充分に解ります。そして、この演奏と録音が、1960年代(半世紀前)で有ることに驚嘆します。

LPとCDの相違
 LPとCDを聴き比べると、LPの方が華やかです、別の言い方をすると、少々歪っぽく煩く感じます。CDの方が圧倒的に安心して聴くことができますが、テレフンケンのLPのは、LP、CDの違いを超えた、独特の音の響き、艶を感じます、これは、LPだからと言うことではなく、何か特別な事を感じるレコードです。

ブランデンブルク協奏曲全曲演奏会
2018年03月24日(土)にヤマハホールで演奏会があります。終わった後の二次会には銀座7丁目という場所は最高に良いです。
https://www.yamahaginza.com/hall/event/002849/

手作りアンプの会200回記念アンプの作製

 年が明けて、新たな気持で、手作りアンプの会200回記念アンプの作製を再開しました。

アンプの放熱対策
 PWMアンプのPAM8006Aは、最大出力時(15W/THD+N:10%)、Junction Temperature Range, TJ -40 to +125 ℃の範囲内を守る必要があります。400円のアンプなのに保護機構が備りダイの温度がジャンクション温度を超えると、自動的にシャットダウンされる仕組みです。そこで可能な範囲内で、安全策をとり放熱処理を行う仕組みとしました。

回路図
クリックで拡大されます。
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ヒートシンク
 ヒートシンクは、10mm厚のアルミブロックに10mm角の純銅のブリッジを設けて、基板裏面のサーマル・トランソファー部分と熱結合を行い、放熱を行う仕組みとします。10WのPWMで矩形波の連続出力を行わないので、この程度で大丈夫だと思います。

送料込みで400円のPWMには見えません。
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左中央の銅が、基板からヒートシンクに熱伝導させるブリッジです。
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電源
 ebayで、12V 3A 36Wのスイッチング電源が、送料込みで、何と400円で入手出来ました。これで、片チャンネル200円の電源を用意できましたので、先に進めます。

以下が、送料込で400円のスイッチング電源です。ラーメン一杯食べられません。
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EMI対策
 スピーカーの出力にEMIフィルターを設けてOscillator frequency: 300kHzの減衰を試みる必要があります。これは、セカンド・オーダー程度のフィルターで定数は、カット&トライで決める予定です。

オーディオの収穫多き一年でした

 今年のオーディオは、収穫多き一年でした。
 特に今年は、ノイズ対策を徹底的に行って、その成果が得られた事が、最大の成果です。クワイエット・コンピュータ(フル・ファンレス)、8チャンネル・ロガリズム・アッテネータと、ファインメットを主体としたEMIフィルターの投入が効を奏した要因であると言えます。それと、クワイエット・コンピュータのソフトウェアー面での静寂化も相乗効果を得る要因となったと言えます。それより最大の収穫は、オーディオという趣味から、素晴らしい友人に出会えて、貴重な時間が得られたことです。これは何にも代え難い大切な事でした。

クワイエット・コンピュータ
ケースは総アルミ製で、分厚いヒートシンクで出来ています。
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NASAにより人工衛星の放熱用に開発されたヒート・パイプでCPUの熱をヒートシンクに分散します。銅製のパイプの中は、作動液(Working fluid)とウィック(毛細管構造の芯)が充填されています。
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 消音コンピュータの投入の成果は、単純にファンの電源を切ったり、回転速度を遅く制御するのではなく、パソコンのキャビネット全体をヒートシンクとして、CPUの使用率を100%として長時間ランニングしてもオーバーヒートしない環境を作り上げる事です。CPUの放熱をヒート・パイプに頼ってシャシー全体に逃がす構造と、日本製の高信頼医療用ファンレス電源をもって、成し得るハードルの高い仕組みです。最近、掛け時計が時を刻む音が耳につき、掛け時計の消音化が必要となる事態となりました。 NVMe対応M.2 SSDの投入により、電源投入後、無音の状態で、パソコンが、7秒で立ち上がり、4秒程度で電源オフとなります。これにより、パソコンと言よりも多機能のオーディオ機器の様な感覚になります。最近のオーディオ機器もPICを多用しておりインテル・プロセッサーを使ったパソコンとは、スループットと速度の差異だけの様です。

ニプロン(日本製)の医療用ファンレス電源
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8チャンネル・ロガリズム・アッテネータ
 アッテネータ自体の動作は、ラッチング・リレーを使っている事から、煩いと言えば、煩いのですが、消音処理を行ったので、動作音が気になりません。それより、投入後、安定稼動して、とても使いやすく高音質です。特に、チャンネル毎に±0.5dBの音圧調整が即座に出来るので、マルチアンプ・システムの場合、ゲイン調整の機能として必須です。又、ポテンショメータ無で、アッテネータには、音質の良いVishay SFERNICE Foil resistorを用いて、DACをフルスイングしているので、音質面で最高の環境が構築できたと言えます。
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ソフトウェアー面の対処
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 ハードウェアー面では、可能な限りノイズ源であるパソコンの台数を減らす必要があります。複数コンピューターが存在する場合に生ずるビート(うなり)を避けてきましたが、同様にソフトウェアー面でも不要なタスク、サービスを減らしてきました。マイクロソフトのTechNetを調べて、インヒビット可能なサービスを調べて、サービスの停止と無効化を行いました。結果として、現時点のアクティブ・タスクとして35以下に抑える事が出来ました。

iPadによる再生のデマンド
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左からコントローラのipad Pro アッテネータのリモコン、外部表示装置

 従前では、CDPへのCDのマウントと再生操作と、パソコンの再生操作で、音楽を楽しんできましたが、総てのCDリッピングとそのタグの整備が出来たので、ネットーワーク・オーディオに切り替えました。メディア・レンダラーとサーバー・ソフトは、不安定要素が多く音の悪いUPnP/DLNA、OpenHomeに頼らず、簡潔明瞭な、MonkeyMote for foobar2000 HDとfoobar2000を用いる事にしましました。メディア・コントローラーソフトのMonkeyMoteは、LINNのKinsky、Kazoo、LUMINとは異なり有償のソフトですが、メンテナンスも定期的に行われて、俊敏な動作で、安定した動作が実現できます。又、クワイエット・コンピュータの電源ON/OFFは、コントローラーソフトのMonkeyMoteからのマジック・パケット送出によるWake on Lanで行っています。

ファインメットコアーによるEMI対策
 オーディオ機器、パソコン、クロック、通信機器の総ての電源にファインメット・コアーと、TDKのEMIフィルターを施しました。投入の都度、音質を確認しなかったので、どの部分での効果が大きかったか解りませんが、一定の成果は得られたものと思います。

今後の予定
 来年のハイライトは、ラズベリーパイを用いた、ネットワーク・プレーヤーを作成します。デジタル信号の出力は、クロック情報の無いS/PDIF用いず、i2S通信をLVDS(HDMI、RJ45)で行い、現在市販のネットワーク・プレーヤー(LINN Klimax DSM 程度)の機能、性能を凌駕する予定です。又、今年一年、色々な方と出会い、情報交換を行い充実した一年でした、来年も充実した年でありますように・・・

 I hope people all over the world live in peace.

ノイズ対策が進むと

 オーディオ・システムのノイズ対策を徹底的に施すと、聴感上で静寂感が向上して、音が優しくなります。この現象を、「音数が減った」とか、「音が死んだ」、「つまらなくなった」と例える方がいます。実は、この変化は、「為て遣ったり」と言える現象であり、その特性を考慮して、高域、中域の利得を聴感上で微調整(ゲインを上げる事が多い)を行いオプティマイズする事により、音が良化します。実際の場合は、ノイズ対策後に中高域を0.5~1dB程アップした結果で全体のバランスが取れました。この様な場合、どの様に変化したかを定量的に把握して診る必要があります。

クロックの確度と音質
 クロックの精度と異なり、短期的なクロックの確度(位相ノイズ)の音質による違いは、やはり空間の前後感と音の厚みであり、音数つまり、密度感は音の粒立ちがマッシブで厚みがある音は、実は確度の低いクロックの音です。良いクロックの音は細身で、上品で静かであり、空間が広く立体的で、そして前後感のある音です。バイオリンに刺激性が無く、低音部の楽器の種類が明解になるのが、良いクロックといえます。コントラバスの音程が明確で、澄んだ低音で、「ズーン」と言った感じで、バイオリンの音色が甘く感じられます。この様に変化してきたら、しめたものです。

クロックの汚れ
 クロックの波形がノイズの汚れで歪まず、精密かつ正しくゲート回路を動作させる事により、低ひずみの音の再生が可能となります。そのことから、基本的に位相ノイズの少ないクロックと、その動作を確実なものとするノイズ対策が大切です。今回はルビジウムクロックの電源にノイズフィルターを施してありますが、ワードクロック・ケーブルのノイズ対策が必要と思われます。それ以前に、ワードクロックのケーブル・ターミネーションとインピーダンス整合が重要である事は言うまでもありません。

ワードクロックの品質
 CD品質のワードクロックは、44.1khzで、システム(マスター)クロック22.5792mhzから、PLL回路により 1/512 の分周により作られる為にPLL回路の品質に大きく依存されます。
 実際の内部処理は、FEI Communications, Inc. の FE-5680Aから生ずる100mhzを段階を経で22.5792mhzにPLLで分周して、更にワードを作るので、結構、多段で複雑です。その為か、必ずしもルビジウムクロックだから優れているという事は無さそうす。同様にNDK製のOCXO DuCULoN®を使えば総てハッピーと言う事でなく、周到な周辺回路の設計が必要な様です。ステディークロックという名称で、高品質のクロックを有する、RMEのオーディオ・インターフェースの内部クロックが、無難な様です。

PLL回路
 PLL:Phase locked loop(位相同期回路)PLLシンセサイザーとも呼ばれ、位相の制御と帰還により、新たな周波数を作る、単純な分周で、ターゲットの周波数とバウンダリーの関係にあれば精度が確保できるが、非バウンダリーの場合に、音源ベースで必ず位相ノイズが生じて、クロックのジッターが理論的に生じます。
 好ましくない例として、CDの44.1khzを48khzで再生すると、必ず音質が悪化します。再生する音源がCDの場合は、クロックを22.5792mhzとして、業務用の48khz中心の場合は、24.576mhzとすべきです。

ルビジウムクロックから分周によりジェネレートされたワード

RME Fireface UCX ワードの出力