ディスクリート・ヘッドホンアンプの作製

 手作りアンプの会主催のお寺大会のお題は、「ディスクリート・ヘッドホンアンプ」です。ICとかオペアンプを使う事ができないので、ハードルが高いです。安直に実現するとしたら、既存のパワーアンプのファイナル段の石(半導体)をスケールダウンして、それに見合った電源を用意すれば、シュリンク・ヘッドホンアンプの壱丁上がりなのですが、その方法では如何なものかと・・そこでヘッドホン専用のアンプを作成する事にしました。
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ディスクリート・ヘッドホンアンプ
冬お寺2015-1
 ブリーダ電流バイアス回路をアレンジして、ダーリントン回路で利得が不足するところを補います。このブリーダ電流バイアスを使った増幅回路の特徴は、温度や電源電圧が多少変動してもコレクタ電流が、ほとんど変わらず、そのうえhEFにほとんど関係なくラフに設計できます。 RA、RBはブリーダ抵抗で、電源電圧を分圧して、ベース、エミッタ(グランド)間の電圧を安定に保つ働きをします。 Q1.Q2は擬似ダーリントン接続でゲインを稼いでいます。

実装
 ケーシングは、ハモンドのアルミ・ダイキャストケースで、塗装はシルバーのハンマ-ト-ン仕上げの物です。受動部品は、数が少ないので、一寸凝って抵抗はDAILの巻き線抵抗を使い、他は極普通のコンデンサーです。

電源
 電源は当初、秋月のスイッチングのACアダプターを使いましたが、スイッチングの高周波ノイズが盛大に乗って、ヒステリックな音がするので、手持ちのリチウムイオン二次電池(7.2V)に変更しました。結果は上々でノイズを皆無にする事ができました。
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肝心な音
 SNRが高く、鮮度の高い音で中々良いですが、このアンプと電源に加えてプレーヤーを持ち歩くの難儀です。

 音の良さ、携帯性、仕上げ等、完成度の総てにおいて、どう逆立ちしても以下のMojoにはかないません。
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考察
 今回作製した、アンプは、お寺大会御用達で、普段使いは重くて、使い勝手が悪く有り得ないです。お遊びとしては良いですが、結果として塵を作った事になりました。それからリチウムイオン二次電池で得たヒントですが、電動アシスト自転車のバッテリー(3.6V×7個=25.2V)をオーディオシステムに応用したら、ノイズ問題から逃れられそうですね。

 

ベントの測定と調整を行いました

 スピーカーのドライバーの入れ替え等を行い、調整を行ってきましたが、久し振りにベントの測定と調整を行いました。

 ベントを設ける場合、ドライバー(ユニット)"Q"とキャビネット(箱)の応答によって、ベントの長さと、その容積により最適解(Optimal solution)が存在して、それに可能な限り近づけられるか否かによりVented-box low-frequency system (バスレフシステム)の成否が決まります。更にその効果をより確かなものとする為に、以下の様に更なる工夫が必要です。

スピーカーのポート
 バスレフのベントを別名ポートと呼ばれ、またダクトとも言われます、本来の呼称はベントが正しく、ダクトとは、気体を運ぶ管であり、主に建築物内で空調、換気、排煙の目的で設備の事を言い、ポートとは外部との情報の受け渡しを行うためのインタフェースの事を言います。やはり共鳴管と背圧調整の主旨から、ベントが正しいと思います。

理想的なベント
 ベントからキャビネット内の空気が出入りするのですが、その時、異音(ブローノイズ)の発生を抑えて、スムースな動作が求められます。そこで、英国の某有名スピーカーメーカーのベントを見ますと、マグヌス効果を期待したディンプルが有ります。これは、ゴルフボールのディンプルと同じ考えで、極めて有効な方法だと思います。又、ベントのエンドは切りっ放しでは無く、フレアーを付けて、風切り音等のノイズ低減が必要です。更にベントの太さを一定とせず、テーパー (taper) 状として、歪み率の低減を行う工夫が必要です。ウーファー・コーン紙の裏側ノイズは極力前面に漏れない工夫が必要です。

ディンプル加工が施されているベント
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非対称でフレアーとテーパーのベント
この加工を施すと95dBSPLの音圧で、6dB程度のブローノイズの削減が期待できます。この辺は、数百年前に既にパイプオルガンで実現されていたノウハウの応用と言えます。
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実際の工法
オルガンの例
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自作のMTMスピーカー(可変長ベントで共振周波数を適切に変更ができます)
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フレアー部分を内部で強固に固定して、ベント自体の共振を避けます。
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測定結果(IEC263準拠)
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 軸上(1m)の音圧とベントの音を同じ音圧で測定しました。
 小口径のウーファーは、ベントから中音域の漏れが生ずるので、ベントは正面より、背面、又は下面が好ましい様です。又、中音域との干渉を避ける為に、少なくとも-48dB/oct.程度の急峻な遮蔽特性が必要です。小口径の場合、正面にベントを設けると、中音域での逆位相での相殺により中抜けの音となる可能性があります。
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 軸上で測定した90dBSPLの音圧でベント付近を測定した為、異常に高い音圧となってます。ベントからの音は強力な風が伴うので、正確に測定することは困難です。例えばスピーカーの後部のみを壁を境にして別の部屋で測定する等、工夫が必要かと思います。

メインシステムのゲイン調整を行いました。

 オーディオ・インターフェース(RME fireface)とアンプのゲインの関係を整理すると、デジタルチャンデバとして高音質な出力レベルを如何に確保するかが問題です。アナログVUメータの0dBを基準とした最大レベルを 0dBFS(Full Scale)として判断して、デジタルデータの0dBを再生して、出力のレベルが+2dBV(約+4.2dBu)で出力されるように各チャンネルのレベルを調整します。そして、この出力レベルでチャンネル毎のドライバーの音圧を最適化する様に、アナログ出力チャンネルのアッテネータをオプティマイズする必要が有ります。

アッテネータの準備
 アンバランスの場合は、ポテンショメータ(potentiometer)をオーディオ・インターフェースとパワーアンプとの間に入れれば簡単に調整可能です。又、パワーアンプによっては、ポテンショメータが備わっているのも有り、その調整だけで済みます。完全差動アンプ(Fully-Differential Amplifiers)の場合は、かなり厄介で、チャンネル数だけ独立したバランス型のアッテネータを用意する必要があります。

 -16dBFSで大まかなレベルを合わせて、その基準からの+/-6dB程度の調整は、firefaceのデジタル・ボリュームに任せます。
 -16dBFSの基準合わせは固定のバランス型のアッテネータで実現して、インアウトのインピーダンスの整合を行います。

アッテネータの作製
 以下の様にユニバーサル基板を切断します。又、バランス型のアッテネータは、O型として、チャンネル毎に4本の固定抵抗で構成します。作製したアッテネータは、XLRプラグの中に仕込み、アンプの入力の直前で減衰する様に接続します。オーディオインターフェースの出力側で減衰すると、SNRが悪化します。アッテネータに用いる抵抗は金属皮膜で1/8Wで十分な耐圧ワット数で小型に作れます。事前に抵抗値を測定しましたが、廉価な抵抗でも1%の誤差範囲に収まってます。
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デジタル機器の基準レベル
 -16dBFS=0VUが一般的でありオシレーター、又は、1,000Hzの正弦波デジタルデータを基準信号として再生して、ピークレベルメーターが-16dBを示すように整えます。その時、firefaceの出力セティング基準を+4dBとして、アンプの音量を調整します。
 1,000Hz単音では、マルチチャンネルのレベルを同時に確認することが出来ないので、1,000Hz単音に200Hz、8,000Hzの変調を掛けて音源を作ります。

録音の国際基準
 デジタル機器の基準レベルは世界各国によって規定があります。基本的には0dBFSより20dB低いレベルポイントが基準(SMTPE、NAB)になっていますがこの基準レベルはダイナミックレンジの広いクラシックなどの録音を想定した値です。実際には音楽のジャンルや聴く環境を想定して、-18dBFS -12dBFS -6dBFSなどの基準レベルで録音されます。
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レベル合わせ
 1,000Hz単音に200Hz、8,000Hzの変調を掛けた音源をfirefaceで再生してTotalMIXでレベルを確認した結果、以下の様に-5dBuで各チャンネルで調整ができました。-5dBuの音はかなり大きな音ですが、限りなくこの値で快適な音量で聴ける様にアッテネートするすると、入り口から出口まで、デジタルデータのロスを最小限に調整する事が可能です。
①:ソフトウェアーチャンネル
②:アナログ出力チャンネル
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以下の様にゲインを調整すると、アナログ出力のフェーダーの減衰値を0dBとすると、最適な音量で音楽を楽しむ事が出来ます。
ウーファー: -21dBu
スコーカー: -24dBu
トゥーイータ : -26dBu

マルチチャンネルボリュームの代替策
 マルチチャンネルのボリュームは、悩みの種です、今回、SPL Volume8で玉砕状態となりましたので、従前の方法に戻す事にしました。RMEの製品の場合、内部処理をフローティング・ポイント46ビット(倍精度浮動小数点数)でDSP処理を行っているため、フェーダーを絞ることにより、ビット深度が浅くなることによる音質の悪化は、最小限にコントロールされています。そこで、各チャンネルのフェーダーを連動して、一括して音量の調整が可能となります。又、出力は、バランスのままで高いSNRのままメインアンプに出力する事が可能です。
A:ソフトウェアーからの出力
B:グルーピングされて、どのフェーダーを動かしても総てのグルーピングされた出力チャンネルが連動します。
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今後の予定
 やはり、操作性を考えると、マルチチャンネルのボリュームがベストだと思います。何とか実現したいと思います。


 

パリの騙し絵

パリ在住の妹から久し振りに騙し絵が送られて来ました。

 消防署の建物の裏側で、19世紀頃のものなのか馬車の消防車、ちゃんと車体にはパリ市の紋章も見えています。絵の反対側の正面には本物の消防車が何台も外から見えています。昔から市の建物だったらしく、左上のパリの紋章が付いている所までが本物の建物で、そこから左右両方の建物が絵の中で続いています。
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© 2016 Mari S.

 梯子に登った消防士が救助しているのは… この救援要請、現実に結構あるのだとか。
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© 2016 Mari S.

 絵の中の橋は、ヴェネツィアのため息の橋(Ponte dei Sospiri Piazza San Marco, Venezia, Italy)​​の様な感じですね。

べリンガー ケーブルテスターCT100

6-in-1のケーブルテスター
 べリンガー製で2,980円(三年前は1,700円だった)で廉価です。RCAケーブルとかACセパラ、インレットケーブルの結線を間違える事は少ないと思いますが、バランスのキャノンとTRSケーブルを6本程作製すると、1番のシールドは間違えないにしても、ホットとコールドは、一寸自信無いです。一本々テスターであたれば良いのですが、シールドがグラウンド(金属のフレーム)に接触しているか等のチェックをあわせて行うと、結構手間がかかります。そこで、このケーブルチェッカーの登場となるのですが、とても便利です。
 ケーブルチェックの機能の他に、テスト信号(440Hz、1kHz)のシグナル・ジェネレータとファンタム電源機能があります。
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TRSとXLRの結線をチェック
対角線上にLEDが点灯すれば正当な結線と判断できます。ショートしていると、他のLEDが点灯します。金属フレームとの接触もわかります。
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 なければ無いで済みますが、ケーブルのチェック時間を大幅に短縮する事が出来て良いと思います。
 単に導通のみでLEDを点灯していません、アッテネータを入れると違った点灯をします、マイコンチップが搭載されている様で、結構複雑な動作をします。

添付のマニュアル
 添付のマニュアルは、英文と中華です。日本語の怪しいマニュアルがサウンドハウスのホームページに貼り付けてありますが、この訳が酷くて、読むと解らなくなります。かなり程度の低い文系の方が、この機器の動作を理解しないで訳した物だと思います。

新マニュアル
 以下の様にべリンガーケーブルテスターの操作方法を纏めました。

1.ケーブルテストモード1
被テストケーブルの片方のプラグを任意の「Out」ジャックに挿し込みます、そして、もう片方のプラグを任意の「In」ジャックに挿しこみます。
(端子の両端が違う形状のケーブルでもチェックが可能です)
差し込んだ結果、In、Outそれに対応して、挿し込まれてた端子を指し示すLEDが点灯します。もし、対応するLEDが点灯しない場合は、ケーブルの導通がとれていません。断線している事を表します。
この時「Grounded Sheld」LEDが点灯した場合は、キャノン外側フレームと1番ピン(シールド)が接続されている事を表します。
「Grounded Sheld」LEDが点灯したケーブルを使うと、1番ピンがフレームグラウンドに落ちる事を表します。これはノイズ対策上大切な要件です。

2.ケーブルテストモード2
間欠的な断線、接触不良で不安定なケーブルの状態を調べる方法
「Cable Tester」にスイッチをスライドするとき、Resetボタンを押します。
結果、ケーブルの接続状態の表示が保存されると同時に、「Intermittent」のLED表示が消灯します。そこで、被テストケーブルを色んな方向に動かしてストレスを与えLEDの表示を見るます。断線、接触不良、短絡等により導通の変化が生じた場合、それが切っ掛けで、その部分に該当するLEDが点灯して、不安定な状態の個所(線)を知らせます。
リセットが押されるまで、接続の不安定個所を累積(一回でも生じたら)
LEDの点灯で知る事が出来ます。

3.ケーブルテストモード3
壁の中に配線されたパッチケーブルをテストする場合に有効なモードです。
このモードは、被テストケーブルをケーブルテスターに片方しか挿せない場合に使う方法です。

・Resetボタンを押しながら「Cable Tester」にスライドさせます。
・OnのLEDが点滅してInstalled Cabele Tester Modeになっている状態を確認します。
・対応するOut端子に被テストケーブルを接続ます。
・LEDがCable Tester Modeと同じ動作をするので、ケーブルの断線、結線の間違の試験が出来ます。LED点灯しない場合、断線している事が想定で出来ます。

4.テストトーンモード
テスト信号をケーブルテスターのOut側に出力して、それを活用することにより、導通を知ことが可能です。
 
・「Test Tone」にスライドスイッチをセットします。
・信号の強さは、+4dBu、-10dBu、-50dBuの3レベルで、「Test Tone Level」のスライドスイッチで選択します。-50dBuはマイクロホンケーブルの試験に最適です。
・信号の周波数は、Resetボタンを押す事により、1kHz、440Hzの何れかの選択が可能で、その状態をLEDの点灯で表示します。
・テスト信号は、正弦波ではなく、歪んだ矩形波もどきです。

5.ランプテスト
ケーブルテストを行うに前に全LEDの点灯試験を行う事をお勧めします。
Resetボタンを押しながら、「Test Tone」モードにスライドスイッチをセットすると、全LEDが順番に点灯/消灯してLEDランプが正常か否かの確認を行う事が出来ます。